日野自動車の検査不正に「極めて悪質」と批判し猛省求めた日経社説

お金を数える人のイメージ(Unsplash)
お金を数える人のイメージ(Unsplash)

性能試験データ改竄
ロシアのウクライナ軍事侵攻という世界的大事件の陰で、日本企業、特に製造業の信頼性に関わる重大な事件が起きていた。日野自動車によるエンジンの排出ガスと燃費に関する性能試験でのデータ改竄(かいざん)である。

自動車業界では2016年4月に、三菱自動車で燃費の不正問題が発覚して以降、スズキや日産自動車などでも相次いだため、政府から再点検を求められ、業界全体で再発防止に向けた取り組みを実施してきたはずだった。

今回の事件を社説で論評したのは読売と日経の2紙のみと少なかったが、両紙とも厳しい批判を展開した。

9日付読売は、冒頭、「自動車の品質検査を巡り、今なお不正が横行していたことに驚くばかりだ」と指摘し、「ユーザーの信頼を裏切る行為を、二度と繰り返してはならない」と強調する。

日野自はトラックやバスのディーゼルエンジンを検査する際に、不正な手法で排出ガスや燃費のデータを測定。そのデータを国土交通省に提出して、量産や販売に必要な型式指定の認証を得ていたという。

道路運送車両法に違反している可能性があり、国交省は日野自の工場を立ち入り調査したが、読売は「型式認証の取り消しも含め、国交省は厳正に対処すべきだ」と訴える。当然である。

問われる会社の風土

読売以上に、批判のトーンが厳しかったのが、日本経済や日本企業の旗振り役、経済紙の12日付日経である。

同紙は、これまで日本を代表する名門製造業の現場で数々の不正が明らかになったが、今回の日野自の排ガスデータ改竄は「悪質と言わざるを得ない」と強調。トラックメーカーにとって、その性能を欺いたことは「会社の存続基盤に関わる看過できない問題だ」と断罪する。

燃費でも本来の数値を改竄したことが分かったことから、「猛省を求めることは言うまでもない」とした。

同紙が特に「極めて悪質」と強調したのは、排ガスの耐久試験の過程で現場の従業員が浄化装置を意図的に取り換えていたという点で、「これでは試験の意味をまったくなさ」ないからである。同紙でなくとも、開いた口がふさがらない、あきれた手口である。

日野自は、今回の不正は少なくとも16年9月から行われていた、としている。前述したように、三菱自で不正が明らかになったのが同年4月だから、自動車業界での不正問題が騒がれ出している時期である。

こうした事態を受け、国は一斉調査を各社に指示したが、読売によると、日野自は「不正はない」と報告していたという。国にウソの報告をしていたわけで、本社が現場の工場からの報告にウソを見抜けなかっただけなのか、そうでないのか。現場では三菱自などの例を他山の石とするどころか、不正が横行していたわけである。

不正の原因追及については、今後、外部の有識者による調査委員会に委ねられる。日経は、「問題は現場の暴走という形に矮小(わいしょう)化できまい。会社全体の管理体制や風土が問われる」と指摘したが、その通りである。

今回、不正が判明したのは16年9月からだが、「それ以前の車種については、調査が及んでおらず、不正がいつから、なぜ始まったのかについては分かっていない」(日経)状況である。

日経は、「日野自には、まず調査を通じてウミを出し切ることを求める。そこから再発防止を徹底することがメーカーとして最低限の責務だ」としたが、同感である。

日野自を他山の石に

同紙は、16年の三菱自の不正発覚の際も、「日本のものづくりの信用が問われる事態である」と強調していたが、今回も同様である。

自社に本当に不正が存在しないのか。日野自を他山の石とし、メーカー各社はもう一度問い直してほしい――日経社説はこう結んだが、悲痛な叫びにも聞こえる。
(床井明男)

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