
「補完勢力」維新と協議した立民は謝罪、弱みさらけ出す
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(2・10)は、9日の中央委員会幹部会を、翌11日付で同幹部会決議を下部組織に徹底させる10日の全国都道府県委員長会議を報じた。参院選に向けて第4回中央委員会総会(4中総)決定を再確認し、中央から末端への上意下達を図ったものだ。
4中総は共産と立憲民主党など「野党共闘」が敗北した衆院選の後、昨年11月27日に開かれたが、立民との「限定的閣外協力」合意を「誠実に順守し、野党共闘を前進させる」として野党共闘を堅持する決定をした。初めて「政権交代」を訴えて戦い得た根拠が立民との合意であり、これを金科玉条として絶対に手放さない構えだ。
が、共産の力は低下している。「参院選最大の焦点―共産党躍進に最優先で力を注ごう」との見出しで11日付は、小池晃書記局長が「比例は、3年前の参院選で4議席、昨年の総選挙の比例票を換算すれば3議席だが、それも既得の陣地とはいえないと述べ」たとして、厳しい状況を伝えた。
また、幹部会決定は4中総決定を「どういう角度で深め、どう具体化し実践するかを提起したもの」としており、その一つが「自公と補完勢力による『翼賛体制』づくりをゆるさない最強の力になる」こととした。特に「補完勢力」と名指しする日本維新の会への攻撃を「赤旗」紙上でも強めている。さらに、野党の中の維新と連携する動きについて「この逆流と正面とたたかう」と強調した。
そこへ起きたのが、14日の立民、維新、国民民主党の野党3党国会対策委員長代理レベルによる協議機関立ち上げだ。同紙(2・15)は1面に「立民が『維新』などと協議の場を設置する動き/野党の立場が根本から問われる」との見出しで、小池氏の記者会見内容を通じて立民を批判した。
すると15日、立民の馬淵澄夫国対委員長は共産の穀田恵二国対委員長を訪ねて共産を外したことを謝罪。「赤旗」は16日付で「立民が謝罪・撤回」の見出しで報じた。赤子の手をひねるように、わずか1日で立民を謝罪に追い込んだのだから、4中総決定に勢いを加えたと言える。共産は立民に野党共闘路線をごり押しして、参院選に持ち込もうとするだろう。
一方、立民は共産を相手に弱みをさらけ出した。立民に対する共産票の効果てきめんであり、もはや野党共闘の流れに逆らうことはできない様子だ。
(編集委員 窪田 伸雄)