トップオピニオンメディアウォッチ名護市長に「黙認、沈黙」とウソのレッテルを貼り反辺野古を煽る朝毎

名護市長に「黙認、沈黙」とウソのレッテルを貼り反辺野古を煽る朝毎

名護市長選、辺野古移設めぐり保革一騎打ち
名護市長選、辺野古移設めぐり保革一騎打ち

都合悪い真実語らず
黙認、沈黙、語らず。こんな活字が新聞紙面を飾っていた。去る1月23日に投開票が行われた沖縄県名護市の市長選挙は、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の辺野古移設を進める与党推薦の現職、渡具知武豊氏が圧勝した。それを伝えるリベラル紙だ。

朝日24日付1面トップは「辺野古『黙認』の現職再選」。その下に「沈黙、私たちも問われている」と題した木村司・那覇総局長の解説が載っている。2面では「コロナ禍で暮らしが揺らぐ中、争点としての『辺野古』はかすんだ」と記す。毎日(西部本社版)24日付夕刊1面には「再選渡具知氏 辺野古語らず」の見出しがある。

こうした紙面・記事は渡具知氏が辺野古問題をスルーし、まるでズルして再選されたかのような印象を与える。本当に渡具知氏は辺野古を語らず再選されたのか。事実はまったく異なる。

そのことを端的に示すのは、地元、琉球新報25日付の「辺野古移設、渡具知氏が『地元中の地元』で語った胸の内」と題する“選挙総括”記事だ。それにはこうある(要約)。

――渡具知氏は選挙戦が幕開けした16日に移設工事の進む辺野古区に駆け付け、「地元中の地元の皆さんは色んな意見がある中で歯を食いしばり、一つ一つの意見をまとめ対応してきた。20年の強い思い、辺野古区をもっと発展させたい気持ちを忘れるわけにはいかない」と訴え、集まった約30人の辺野古区民らは「そうだ」と拍手で応えた。数時間後、辺野古を訪れた野党候補は「新たな基地はいらない」と移設反対を呼び掛けたが、駆け付けた地元の支援者は数人のみ。盛り上がりは渡具知氏と対照的――

琉球新報ネット版には辺野古区の支持者らとグータッチする渡具知氏の写真も掲載されていた。こんな記事はリベラル紙には滅多(めった)に載らない。琉球新報にも稀(まれ)である。

「地元中の地元」辺野古区は、住民への永代補償や道路整備など街づくり推進を条件に普天間飛行場の代替施設の受け入れを表明してきた。渡具知氏が言う「20年の強い思い」「辺野古区をもっと発展させたい気持ち」とはこのことを指す。反米反基地のリベラル紙にとっては不都合な真実だろう。だから、これには「沈黙、語らず」である。

雄弁に語る渡具知氏

では、渡具知氏は辺野古に「沈黙、語らず」なのか。そうではない。前掲の毎日にはこうある。

――(渡具知氏は)市議時代は辺野古移設に容認する立場だった。だが、前回選時も、市長就任後も、「国と県の裁判の行方を見守る」と移設の賛否には言及してこなかった。「辺野古移設に反対が多いのは分かっている。では、なぜ私が選ばれたのか。(国と県の対立が)司法に委ねられている段階で、あえて『賛成だ』『反対だ』と言って、そこに何が残るのかという話ですよ」――

雄弁に語っているではないか。メディアは「反対」と叫ばなければ、黙認、沈黙のレッテルを貼る。「賛成」と言えば、軍国主義者呼ばわりする。黙認は「公然とでなく、暗黙のうちに許可すること」(広辞苑)だが、移設工事の「許可」の権限は県にあり、その是非を県と国が争っているから、渡具知氏の態度は黙認とは言い難い。また黙認は「知らぬふりをして見逃すこと」(同)の意味もあるが、知らぬふりもしていない。となると、「黙認、沈黙、語らず」のレッテルは全てウソということになる。

中国軍進出にも沈黙

朝日の木村氏は「『沈黙』しているのは誰なのか。基地のあり方を問われるべきは、全国の私たちではないか。名護が問うている」と反辺野古を煽っているが、天に唾するとはこのことだ。朝日は辺野古区の移設受け入れ表明ばかりか、沖縄の地政学的な安全保障環境や中国の軍事進出に沈黙し、語らず、である。名護が問うているのはまさにこのことだ。「辺野古」はかすんではいない。
(増 記代司)

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