リベラル紙が固執する女性・女系推進論は「もうひとつの天皇廃止論」

朝見の儀で天皇陛下に謝恩の辞を述べられる秋篠宮殿下=2020年11月8日午後、皇居・宮殿「松の間」(代表撮影)

「国策」はウソ偽り
毎日の伊藤智永氏(編集委員兼論説委員)が奇怪なことを言っている、「女性・女系天皇を認める国策は16年前、すでに決まっている」と。8日付オピニオン面の「時の在りか」と題する氏の看板コラムにそうある。そんな国策あったっけ? と首を傾(かし)げた。

思い当たるのは小泉純一郎政権下の2005年に皇室典範改正有識者会議がまとめた「女性・女系天皇容認」の報告書だ。しかし、これは秋篠宮紀子殿下のご懐妊で国会上程が見送られ、翌06年9月に男子親王の悠仁殿下がお生まれになり、立ち消えた。

当時、報告書は女性・女系の「結論ありき」との批判を浴びた。有識者会議の座長代理を務めた園部逸夫氏(元最高裁判事)は後に「『結論ありき』と言われれば、そうかもしれません。小泉首相の強い意志があって設置された会議ですからね」と産経紙上で結論ありきを暗に認めている(19年1月8日付「話の肖像画」)。それが国策とはウソ偽り、時代錯誤も甚だしい。

それにもかかわらず伊藤氏は未練がましく持ち出し、「男系男子継承に固執する限り、悠仁さまが最後の天皇になる可能性はある」とし、「象徴天皇制をやめるか続けるか、国のかたちを変えるのか。そこを問われている」と、女性・女系を認めないと天皇制がなくなるぞ、と言わんばかりに持論を説いている。よほどの女性・女系信奉者らしい。

伊藤氏の言う国策の「在りか」(隠されている場所)など、どこにもない。あるならなぜ昨年、新たに皇位継承に関する有識者会議が発足したのか。まあ、支離滅裂な毎日に付き合うのはほどほどにしておこう。

世論は「2案」に賛成

さて、同有識者会議は昨年12月に最終報告書をまとめた。最大の特徴は女性・女系を提起しなかったことで、女性皇族が結婚後も皇族に残る案と旧宮家の男系男子を養子に迎える2案を提示した。これを受けて岸田文雄首相は1月12日に同書を国会に提出、議論の場は国会に移った。

読売13日付の各党の立場一覧によると、自民党、日本維新の会、国民民主党は報告書を評価、中でも維新の会と国民民主党は「男系男子」を強く支持。公明党は態度曖昧、立憲民主党は「内容は不十分」と異議を唱えている。共産党は真っ向から反対し、女性・女系を俎上(そじょう)に載せるように主張している。同党の女性・女系への執着ぶりは異様なほどである。

朝日も伊藤氏同様、共産党に右、いや左へ倣えだ。13日付社説「皇位の報告書 これで理解得られるか」は、「透けて見えるのは『皇位は男系男子が継がねばならない』という考えだ」と男系男子を目の敵にし、国民の支持も得られないと批判した。リベラル紙はほぼ同じ論調だった。

だが、NHKが世論調査で有識者会議の示した2案の賛否を聞いたところ、「女性皇族が結婚後も皇室に残る」は賛成65%、反対18%。「旧皇族の男系男子を養子に迎える」は賛成41%、反対37%で、いずれも賛成が上回った(11日放映)。産経13日付の「阿比留瑠比の極言御免」が言うように「根拠なき『男系男子排除』」である。

読者が真の狙い代弁

共産党やリベラル紙はなぜかくも女性・女系に固執するのか。その狙いはかつての「女性・女系容認」案をめぐる朝日記事で読み取れる。「皇室典範改正の賛否を問うた(読者モニターの)回答の中に「『天皇制をなくす第一歩』(茨城、56歳男性)という理屈もありました」(06年2月4日付・別刷『be』)。朝日の考えを代弁させているようだ。

共産党の護憲運動の音頭を取った故・奥平康弘氏(東大名誉教授)は、「女性↓女系(万世一系から逸脱)↓正統性の根拠なく消滅」の構図を描いている(月刊『世界』04年8月号)。女性・女系推進論は「もうひとつの天皇廃止論」とみて間違いない。

共産党や朝日などのリベラル紙が女性・女系に執着する理由はこのあたりにあるのではなかろうか。
(増 記代司)

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