編集局長・日曜版編集長 連名で購読の継続訴え
新型コロナウイルスの感染拡大によってさまざまな業界に経営危機が広がる中、日本共産党機関紙「しんぶん赤旗」(以下、赤旗)は17日付1面で同紙の継続的な発行の危機を訴え、読者に部数拡大への協力を「お願い」する記事を掲載した。赤旗は昨年8月にも同様の「お願い」記事を掲載しているが、コロナ禍によって経営状況がますます逼迫(ひっぱく)していることがうかがえる。
掲載されたのは、同紙編集局長・小木曽陽司氏と日曜版編集長・山本豊彦氏の連名による「コロナ危機のもと、『しんぶん赤旗』を守るために力をお貸しください」と題する記事。同紙はこの中で、「コロナ禍は、『しんぶん赤旗』の継続的な発行にとっても、大きな困難をもたらしている」と指摘。「読者が少なくなり、新聞の継続的な発行ができなくなるような事態は、どうしても避けなければなりません」と訴え、読者に購読継続と部数拡大への協力を呼び掛けた。異例の「お願い」記事は1000字余りの長文だった。
赤旗は昨年8月29日付にも、党の財務・業務委員会責任者の岩井鐵也氏の署名入りで「『しんぶん赤旗』と党の財政を守るために」という見出しの1400字近い長文記事を掲載。この中で、日刊紙・日曜版の読者が「8月1日の申請で100万を割るという重大な事態に直面」したとして、具体的な部数を挙げて発行の危機を訴えた。
赤旗は共産党の組織、宣伝、教育活動のツールであるだけでなく、党財政を支える支柱だ。昨年8月の記事も「『しんぶん赤旗』の事業は党の財政収入の9割をしめるという決定的な役割を担っています」と言及。赤旗の危機は「党財政の困難の増大そのもの」と強調している。
赤旗はこれまで、全国の自治体における大量の公費購読や、自治体職員への強引な購読勧誘などの問題が指摘されてきた。本紙などの報道や住民からの声を受け、対策を講じる自治体が増加。公費購読部数の削減や、職員が共産党議員らから強引な勧誘を受けて購読せざるを得なかった状況についても改善の動きが多く報告されている。これらの動きを含む購読部数の減少が党財政に影響を及ぼしているものとみられる。
(亀井玲那)