トップオピニオンインタビュー【連載】2026世界はどう動く(2) 自民は新しい大義名分を 政治評論家・髙橋利行氏に聞く(上)

【連載】2026世界はどう動く(2) 自民は新しい大義名分を 政治評論家・髙橋利行氏に聞く(上)

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髙橋利行氏

 ――高市首相率いる自維連立政権の船出をどう評価するか。

 昨年10月に憲政史上で初めての女性首相が誕生し、国民からものすごく期待されている。総裁選演説での「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という言葉が国民に共感されたが、これまではよい仕事をしている。

 ただ、永田町は男社会で、田中角栄元首相に言わせれば「男の嫉妬は女の嫉妬よりも怖い」。女性がガラスの天井を破るのは難しいと言われていた。男勝りの高市氏なら政治、国際情勢などいろいろな壁を破ってくれるのではないか。まだ結果は出ていないが、新しい息吹への期待が高いことは間違いない。

 しかし、本当の評価が下されるのは、今年の通常国会が始まってから。とにかく結果を出さないといけないが、高市氏の頑固一徹、馬力に期待する。

 ――高市内閣の支持率は高いが、自民党の支持率は伸び悩んでいる。

 国民は、日本の政治が今のままでよいのかと疑問を持ったままでいる。自民党は、自分たちが国民から見捨てられそうになっていることに気付いていないのだろう。為政者は、自分たちが決めたことに国民がついてくると思っているが、今では国民が賢くなってしまった。これまでは民意を吸い上げながらも、民意に流されずにやってきた。

 自民は、共産党による赤化政策に対抗するために保守が合同して誕生した。今は、その結党の一番の根っこの部分、レゾンデートル(存在意義、大義名分)がなくなってしまった。共産には力がなく、世界観が異質な中国、ロシア、北朝鮮とは組めない。それを前提に自民は新しいレゾンデートルを立てなければ存在する理由がない。

 しかも、自民以外に政権を担う能力がある政党がない。共産主義の対立軸はなくても、国連などの国際組織が壊れ始めて、米国は内向きになって世界の警察官をやめた。米国の懐を一番知っている日本が世界をリードし、半分ぐらいは米国の肩代わりをするぐらいの気概が必要だ。米国にはさんざんお世話になったのだから、恩返しをしなければならない。そうすれば、自民は今後、まだ伸びしろはある。

 ――2026年の政局をどう占うか。

 今年は日本にとっての転換点になるだろう。政治だけでなく国民そのものが目標を見失っている。「漂流」と言われるが、どうしたらいいのか分からない。日本はいろいろな国家・地域とバランスを取りながら、今後、どういう海図で進んでいくのか。高市氏に課せられた責任は重要になってくる。

 昨年末、官邸で核保有についての発言があったが、非核三原則をタブー視せず議論することは大切だ。核保有、核の傘、核共有などいろんな議論がある。これらの議論は官邸ではなく、まず学識者など他でやったらいい。

 日本は第2次安倍政権以降、短命政権が続いており、今は長期政権が必要だ。首相も大臣も慣れるまで時間がかかるし、長く務めなければ能力を発揮できない。特に、高市氏は今までと違う路線を選択しようとしているのだから、少なくとも3~5年は務めてほしい。高市政権が失敗すれば、日本の失敗になってしまうということだ。

 今年は何につけても解散総選挙が関わってくる。可能性として、3月末の来年度予算成立後、6月下旬の通常国会終盤、定数削減の決着が懸かる年末など、いろいろな場面で政権の是非を問う事態が想定される。1月の解散を視野に選挙の準備に取り掛かっている政党もある。ただ、何か一つでも結果を出してから解散する方が現実味がある。高市氏には自民党をぶっ壊せとまでは言わないが、前例踏襲主義をやめて、牢固(ろうこ)な自民党政治という壁に穴を開けてもらいたい。

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