トップオピニオンインタビュー【連載】新連立始動 高市内閣の課題(下)政権の誕生は必然 公維の入れ替わり 時代の流れに符合

【連載】新連立始動 高市内閣の課題(下)政権の誕生は必然 公維の入れ替わり 時代の流れに符合

政治評論家の髙橋利行氏に聞く

 たかはし・としゆき 昭和18年、東京都生まれ。中央大法学部卒。読売新聞政治部、解説部長、論説委員、編集局次長、新聞監査委員長を歴任。退社後、政治評論家。主な著書に『激変の政治選択』(読売新聞社)。

 自民党の高市早苗総裁が首相に就任し、日本維新の会との連立政権が発足した。新政権に対する期待と課題、公明党の連立離脱の影響、政局の見通しについて政治評論家の髙橋利行氏に聞いた。(聞き手・豊田 剛)

 ――高市新政権が発足したが、第一印象は。

 来るべきものが来たという印象だ。第2次世界大戦後は、戦勝国の、戦勝国による、戦勝国のための国際秩序。これまでは日本にとって幸いに働いた。

 しかし今は、国際秩序そのものにほころびが出てきて、このままでいいのかという動きが世界中に出てきた。それが一般的に「右傾化」と言われている流れだ。右傾化によって戦争が近づく訳ではない。もちろん戦争は絶対避けねばならないが、民族の独立性とか真の独立、そして押し付けられた憲法の改正などをきちんと清算していくことは非常に重要だ。

 日本にも保守の「右」の部分が必要で、高市政権の誕生は必然だった。しかも、憲政史上初の女性首相で日本政治の大きな転換点になる。女性でなければできないところがある。うまく乗り越えてもらって、新しい地平線を切り拓(ひら)く覚悟を持ってもらいたい。そういう意味で大変期待している。

 ――公明党が連立離脱した影響をどう考えるか。

 平和を売りにしていた公明党が離脱し、少し保守的な維新に入れ替わったことは時代の流れと符合している。素晴らしい流れの上にうまく乗ったという感じだ。

 戦後、混乱期の中で創価学会が戦争未亡人など戦争遺族や社会的弱者を共産党に行かせないで、こちらの陣営、すなわち自由と民主主義の陣営にとどめておいたことは大きな功績だ。そうでなければどんどん赤化していった。しかし、残念ながら自民党の人たちは公明(創価学会)を票として見ているため、どんどん不満が出ている。向こう(野党)に行ってもいいなどと言ってはいけない。公明はそこは分かっているから相当苦しんでいるだろう。故意にそれ以上追いやらないことが必要だ。

 「集票マシン」がない自民は、組織として弱くなる。地獄にまで落ちたのだから、組織を一から作り直さなければいけない。党としての理念と成長戦略を打ち出せば復活するだろう。

 ――内閣の顔触れを見ての印象は。

 初入閣は10人いる。初入閣というのは大変なことで、失敗する人が多い。手の内を全て知っている公明は26年間の連立の経験から相当程度、内情を知っているわけだから、攻め込まれたら崩れていく可能性はある。国会は始まったばかりだから、少し心を大きく持って政治に臨んでほしい。とにかく日本には中国、ロシア、北朝鮮、韓国など外からの危機が迫っている。内輪もめしてる場合ではない。

 高市さんはこれまで大勢の軍団を動かした経験がない。だから、派閥的な力を持っている麻生太郎副総裁や岸田文雄元首相、茂木敏充外相、旧安倍派からも力を借りた。ただ、政治や国会対策は貸し借りが絡む。それでもめれば政治がゆがんでしまう。

 ――維新は連立の条件として議員定数削減、企業団体献金の禁止、副首都構想など12項目を要求した。実現性は。

 自民は、これらのテーマについてさんざん内輪で勉強している。解決できずに残ってきたものだから、直ちに解決するのは難しい。連立に入ったら本来、大臣を出すものだが、維新は閣外協力となった。連立に入って難しい大臣でも与えられれば、たちまち自分が引き込まれてしまう。自分たちの手ではできないことを理解している証拠だが、一方でずるいとも言える。いつでも逃げ出せる。連立政権をつくる以上は、政治や国民に対して責任を負うべきだ。まだその覚悟がないのだろう。

 政治とカネの問題は、国民の政治不信を招いた原因の一つだ。自民はある意味ずっとカネには汚い政党だが、それは自民だけの話でもない。政治をクリーンにする目的で1995年に政党助成金制度が導入されたが、クリーンになっていない。米大統領選では政治パーティーでどれだけ大きなお金が動いても、それが悪いと誰も言わない。

 ーー読売新聞の調査によると内閣支持率は71%と、ロケットスタートを切った。解散総選挙の時期についての見通しは。

 これだけ高ければ解散できるというぐらいだが、瞬間風速かもしれない。大体、面白そうな新内閣が発足した時は支持率は上がるものだ。内閣支持率が高いところで解散総選挙を行い、衆院の議席を過半数以上に持ってくるのは自民の悲願だ。そうでなければ、強い国家づくりもできない。維新の役割も大きくなる。

 政党単独で見たら自民も維新も沈んでいて、せっかく上がってきたチャンスだ。まずは連立をしっかり運営して、補正予算を成立させること。今は生活を向上させなくてはいけない。政策を実行して国民の支持を増やせればいい。そうなればいつ解散してもいい。首相指名選挙で分かったように、野党はまとまっていない。風は自民と維新の方に吹いている。

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