延べ5300人が各地へ

能登半島地震の発生から1年半が過ぎたが、多くの被災者は日常生活に戻れずにいる。2011年から民間ボランティア団体「UPeace(ユーピース)」を率いてきた加藤善斐徒(よしひと)さん(41)に、被災地の復興におけるボランティアの役割と価値、継続の重要性について聞いた。(聞き手・宇野泰弘)
――能登半島の取材を進める中で、いまだ当時のまま片付いていない家屋が多く残っているのを目の当たりにし、ボランティアによる支援の継続が大切だと感じた。
継続という面では二つの捉え方がある。一つは、一人が定期的に足を運ぶことで、もう一つは、参加者が他の人を誘い、代わる代わるに参加をしていくことだ。どちらも重要だ。
ボランティアを通じて、多くの参加者が、誰かの役に立つ喜びを実感している。また「まるで祖父母の家に来ているよう」と思えるほど、家族のような交流が生まれることも多い。本当に困っている時には、時間やお金をかけてでも、手助けに行くのは、家族ならごく自然。ボランティアはその感覚に近い。だから、ふとした時に「顔が思い浮かぶ」し、自然とまた被災地ボランティアに行くのが「楽しみ」という人は多い。
――「楽しみ」というのは意外だ。
私の場合は、能登半島でいえば、ボランティア活動だけにとどまらず、被害がより大きかった輪島市まで足を運び、災害の現場をその目で見てもらうようにしている。さらに皆で復興を祈願したり、被災した地元の店に寄って、店主らと交流できる機会を設けたりしている。現地での経験の全てが思い出となり、被災地が「第二の故郷」と感じてもらえることを願っている。

――復興支援の形は他にもあるか。
現地で被災者にあいさつをすることから既に復興は始まっている。自分の酒屋で働くのが生きがいだった男性が、被災後に鬱(うつ)を患ったが、いつの間にか治っていたという話がある。奥さんに聞いてみると、いつも通ってくれていたボランティアの笑顔に接するうち、自然に回復したのだという。さまざまな形で復興に関わることができるということを強調したい。
――UPeaceの活動が10年以上も続いていることに感心する。
UPeaceからはこれまで、延べ360人が能登半島支援に携わった。全国の被災地では延べ5300人を超えた。多くの参加者が、誰かのために生きる喜び、つまり自分の心が啓発されるような体験をしている。現地で人の心に触れ、喜びを実感しているからこそ、また来たくなるし、人にも積極的に伝えたくなるのだと思う。
UPeaceは2011年3月の東日本大震災から始まった活動で、最初から私も関わってきた。ただ、ここ最近、多少の限界も感じている。
――具体的には。
これまでは基本的に、一部の人が現場の指揮を執り、ボランティアの参加者をサポートしてきた。今後、より多くの被災地の復興を支援し、多様化するニーズに応えていくためには、現状のままでは難しい。これまで参加してきたメンバーがリーダーの意識を持って、次の参加者たちを案内し、「被災地への橋渡し役」を担ってもらいたいと思っている。まさに「草の根」でボランティアの参加者が全国へと広がっていってほしい。まだ震災は終わっていない。






