トップオピニオンインタビュー改憲しない自民に存在意義なし 山下英次 大阪市立大名誉教授に聞く【インタビューfocus】

改憲しない自民に存在意義なし 山下英次 大阪市立大名誉教授に聞く【インタビューfocus】

現行憲法は無効

国民は日本の「独立」に関心を

山下英次大阪市立大名誉教授
 やました・えいじ 経済学博士。大阪市立大学名誉教授。1947年、東京生まれ。70年、慶應義塾大学経済学部卒業。東京銀行勤務を経て、88年に大阪市立大へ、同大学院経済学研究科教授。欧州大学院(EUI)ロベール・シューマン高等研究所(RSCAS)客員教授、国際歴史論戦研究所(iRICH)創設者兼所長。明成社の中学歴史教科書の共同執筆者などを歴任。日本の真の独立を目指す有識者会議(ECAJTI)創立者・副議長。主な著書に『日本よ、歴とした独立国になれ! 』(ハート出版)。

日本が先の大戦で敗戦してから今年で80年。戦後の米占領下で施行された日本国憲法は一度も改正されていない。憲法記念日に合わせ、国際経済政治学者の山下英次大阪市立大学名誉教授に現行憲法の問題点や改憲できない理由などを聞いた。
(聞き手・豊田剛、写真・竹澤安李紗)

――現憲法の問題点は。

憲法の前文には、その国の国体や国柄、歴史、伝統、文化が記載されるべきだ。日本は、神武天皇の国造り神話に代表されるような歴史を持つ非常に特徴ある国だが、日本国憲法前文には日本と分かる記述が全くない。

それは現行憲法の成立に問題があるからだ。戦後日本を占領した連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、ハーグ陸戦条約(1907年)の第43条「占領地の法律の尊重」があったにもかかわらず、日本の憲法を変えた。これは国際条約違反だ。現行憲法は「占領軍の基本法」にすぎず、無効である。

――これまで無効決議も改憲もできなかった理由は。

日本国民は戦勝国GHQによって、「戦時中、日本が悪いことをした」という歴史観を植え付けられ、現行憲法が正しいと思い込んでいる。その誤った認識が今まで続いている。

明成社の高校歴史教科書の監修に関わったことがある。国民の誤った認識を改めるため、「GHQの洗脳工作」という表現を採用すべきだと進言したが、教科書検定で通らないという理由で却下された。

――国会議員には憲法の違反性・無効性の認識はないのか。

国会議員にこの問題を認識させるのが手っ取り早いが、国会議員の90%以上は憲法の違反性を正しく理解していない。日本の骨組みである憲法に問題意識を持たない、ほとんどの国会議員は「準」国会議員だろう。

さらに自民党に限っては、1955年の立党宣言で憲法改正を掲げながら、70年も達成できずにいる。自民党の存在意義はもうないと言ってよい。

国民に現行憲法に対する問題意識が生まれないため、国会でも議論にならない。であれば、国会で現行憲法の無効決議を行い、憲法制定会議を開催して、自分たちで一から自前の憲法を作るべきだ。

――憲法改正できない日本の現状をどう見るか。

日本は「真の独立」を果たしていない。独立国家の基本は、①自前の憲法②国防軍③スパイ防止法の裏付けのある統合された国家情報機関―の三つが必要だ。これらの基本が一つも存在しない日本は、真の意味で独立できていない。日本の「真の独立」以上に重要な課題はない。「日本独立党」という政党が出てきてもおかしくない状況だ。

さらに独立の観点で重要な国防政策についても、誤った認識がまかり通っている。専守防衛、核の傘、核兵器不拡散条約(NPT)は欺瞞(ぎまん)以外の何物でもない。

――石破茂政権に対する評価は。

現政権に改憲は期待できない。ただ、石破首相はもとより、戦力不保持を規定した憲法9条2項の削除と自衛隊を「国防軍」と憲法に明記すべきだと主張し、安全保障政策に意欲的だった。さらに「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」構想も提唱している。日本が独立するための長期的な戦略として、日米同盟を解消する必要があり、そうなるとアジア版NATOのような枠組みは必要だ。

それはさておき、石破氏は自虐史観の持ち主であることは問題だ。

――憲法記念日に当たり、国民に伝えたいメッセージは。

日本の「独立」に関心を持ってほしい。いまだに真の独立を達成できない原因は、教育でも国会議員でもない。国民一人ひとりの当事者意識のなさが原因だ。

歴史の本を探す時、インターネットで調べるのではなく、実際の本屋に足を運んでほしい。そうすれば、歴史観を語った本を発見できる。自ら多角的に学ぶ姿勢を持つことが重要だ。

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