トップオピニオンインタビュー「アースデイ」を世界の祝際日に 第1回大会発起人、光永勇氏に聞く

「アースデイ」を世界の祝際日に 第1回大会発起人、光永勇氏に聞く

第1回のポスターを手に「アースデー」を熱く語る光永勇氏

4月22日は、世界規模で地球環境について考える「アースデイ(地球の日)」だ。1990年に沖縄で日本初の「アースデイ」を企画し、その後も様々な環境保護活動や啓蒙運動を牽引(けんいん)してきた光永勇氏は、今もなお現場に立ち続けている。環境への想いをどう形にしてきたのか、これからの地球に何を残していきたいのか、活動の経緯と今後の展望を聞いた。
(聞き手=沖縄支局・川瀬裕也、写真も)

思想、宗教の垣根超えた環境運動

人間主義から地球主義的視点へ

――「アースデイ」はいつ始まった。

1970年に米国の学生が呼び掛け、ゲイロード・ネルソン上院議員が提唱して始まった運動が世界へと広がっていった。政治思想や宗教などの垣根を超えて「アースデイ」を祝い、一人一人が地球のために何ができるのか、考えて行動しようというコンセプトだ。90年には私が発起人となり、日本における第1回大会を沖縄で開催した。これを皮切りに全国各地でイベントが催されるようになり、今では毎年恒例の行事として定着している。

――運動を始めたきっかけは。

90年当時、沖縄県内では河川の汚染が深刻な社会問題となっていた。工場や養豚場は川へ排水をそのまま垂れ流し、家庭ごみの不法投棄も常態化していた。このままでは、汚染された水が海へ流れ、サンゴが死滅してしまうと危機感を抱き、「綺麗な川、奇麗な海を願う人の会」を立ち上げ、河口の汽水域にマングローブの植栽をするなどの活動を始めた。すると、次々と協力者が集まり、沖縄でのアースデイ第1回大会へとつながっていった。

――第1回大会を振り返って印象深い内容は。

「沖縄自然王国地球の日フェスタ」と銘打ってスタートした第1回大会は、アースデイの理念に基づき、超党派の政治家や宗教家、各種活動家に至るまで、思想や宗教の垣根を超えて、分け隔てなく多くの人に声を掛けた。結果的に会場となった那覇市民体育館には1万人が集まり、大成功を収めることができた。

――沖縄での成功事例や取り組みを、他の地域や団体へ広げるために、何をしたか。

力を入れて取り組んできた川の水質改善活動について、研究者を呼んで各地で講演会を行った。さらに、地元の市町村長や県の幹部に、実際にマングローブの植栽に参加してもらう事で行政の関心度を上げることに努めた。また、環境問題に取り組む企業とも幅広く連携し、さまざまな実証実験も行ってきた。

――今後の活動のテーマは。

アースデイを祝日にする運動だ。アースデイ自体の認識は全国的に広がりつつあるが、平日ではできるイベントに限度がある。国連でも正式に決議されているアースデイを、日本の祝祭日として定め、全国民が地球環境について考える契機にしていきたい。そこからさらに全世界に波及していけば、アースデイが真の意味での「地球のための人類の統一行動」になるだろう。日本が新たな強みとして、環境問題を積極的に世界に発信していくことは国益にとっても意義深いことだ。

――今年のアースデイでは、どのような活動をするか。

初めての取り組みとして、環境大臣と首相に、アースデイの祝日制定に関する陳情を行う予定だ。この声を国会に届け、さらには国会の国際会議場で、歴代の環境相を集めて会議を開きたい。できれば首相にも参加してもらいたい。

――アースデイを通して、国民に伝えたいことは。

日々、さまざまな社会的枠組みの中で生きていると、つい忘れがちだが、私たちは人間が作った社会の中ではなく、あくまで地球の上で生きている。人間主義的視点ではなく、地球主義的視点に立ち返って、今一度地球と向き合ってみて欲しい。4月22日のアースデイを地球の誕生日として共に祝い、地球のことを自分のこととして考えていってもらいたい。

◇◇◇

みつなが・いさむ

1952年、沖縄県宮古島生まれ。超党派の市民運動などを全国各地で展開し、漂着ごみ問題や、河川の水質改善などの環境保護活動にも力を入れる。全国勝手連連合会会長や、沖縄真面目大学会長、日本地方新聞協会会長代行などを務める。

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