トップオピニオンインタビュー北朝鮮拉致 風化させるな 二度と起きない国 次世代に 救う会埼玉 竹本博光氏に聞く

北朝鮮拉致 風化させるな 二度と起きない国 次世代に 救う会埼玉 竹本博光氏に聞く

たけもと・ひろみつ  昭和32年、東京都杉並区出身。國學院大法学部卒。一般企業に就職した後、平日も活動できるように個人事業主に転身した。平成13年から「救う会埼玉」の活動に携わり、同21年に代表就任。
北朝鮮拉致被害者家族会で活動の先頭に立ち続けた有本明弘さんが2月に亡くなった。被害者の親世代で残るのは横田めぐみさんの母・早紀江さんだけになり、一刻も早い被害者の帰国が願われている。民間支援団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出する埼玉の会(救う会埼玉)」の竹本博光代表に聞いた。(聞き手・豊田 剛)

――拉致被害問題に携わるようになったきっかけは。

知人を通じて横田めぐみさんのご両親から直接話を聞く機会があった。話を聞いて心が痛んだが、実情を知った人が動かずして誰がやるのかという気持ちで、これまで20年間、啓蒙(けいもう)活動をしている。

――これまでどのような活動をしてきたか。

平成23~24年にかけて50カ国の大使館を4人ほどのチームで訪問した。政府が認定する17人以外にも多くの拉致被害者がいる可能性があるので、「万一大使館に逃げてきたときは助けてほしい」「情報提供の協力をしてほしい」と、特定失踪者問題調査会が発行した顔写真付きポスターなどを提示して訴えた。資料を提供すると「必ず本国に本日聞いた話と資料は伝える」と言って真剣にメモを取りながら話を聞いてくれた。

それから、衆参両院の国会議員も訪問した。外務省が「特定失踪者問題」で国際啓発を十分に行っていない点を指摘し、特定失踪者を政府が吟味の上「拉致認定」するよう要請した。

――埼玉県では具体的にどのような取り組みをしているのか。

埼玉県では、川口市出身で拉致被害者の田口八重子さんの親族と特定失踪者家族との連携がよくできている。大野元裕知事も県議も拉致問題の取り組みに熱心で協力的だ。

また、さいたま市では市教委の協力の下、小中学校で拉致問題の公開授業などが行われ、学校教育の中で拉致問題を扱うケースが増えてきている。

拉致被害者が帰国してからかなりの歳月がたっており、拉致問題を風化させてはいけない、そして二度と拉致という悲劇が起きない法整備を含めた体制をつくらないと皆さん自身や皆さんの大切な方々が拉致されてしまう危険性があると街頭などで訴えている。

――2024年12月に埼玉県版「拉致問題啓発推進条例」が制定された。

昨年12月20日に県議会で可決し成立した。こうした条例は都道府県単位で初めてだ。拉致問題は国家的問題であるとともに、地方自治体が地域住民と共に考え行動していくべき問題だ。

今年の1月28日には、衛藤(えとう)晟一(せいいち)自民党拉致問題対策本部長と面談し、自民党各都道府県連に呼び掛けて、全国の議会で同様の条例を制定してもらいたいと要望した。

――米国でトランプ大統領が就任し、米朝交渉の可能性がある。石破茂首相は、北朝鮮連絡事務所の設置を提案している。

拉致被害者家族会と特定失踪者問題調査会では多少の温度差がある。家族会では被害者の一括帰国を求めていて、事務所設置を論じている段階ではないと批判的だ。一方、調査会は、一人からでもと、被害者を取り戻すための交渉を求めている。

――国民に伝えたいメッセージは。

拉致は人権侵害であり、主権の侵害問題。主権者の私たちがしっかり声を出し政府の背中を押していかなければならない。二度と拉致が起きない平和で安全な日本を次世代に受け渡していくことが今の時代を生きる私たちの使命であり責任だと思っている。

◆救う会埼玉の主な活動

・毎月第2日曜日14~16時にJR浦和駅西口伊勢丹前で定例署名活動を行っている。

・3月29日(土)9時半から13時まで、京成上野駅前付近で街頭活動をする。(雨天時は翌日30日同じ時間で行う予定)

・8月15日には靖国神社付近で街頭活動を毎年開催している。(雨天中止)

・9月には埼玉県と共催で「拉致問題を考える埼玉県民の集い」を埼玉会館で開催予定。

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