トランプ前米政権で大統領副補佐官を務め、現在は同政権高官らが設立した「米国第一政策研究所」で外交安全保障問題を担当するフレッド・フライツ氏がこのほど、世界日報の単独インタビューに応じた。フライツ氏はトランプ前大統領が返り咲いた場合、有害な共産主義の影響力を社会から排除するとともに、リベラルなエリートやグローバリストから米国民の利益を守る外交政策を展開するとの見通しを示した。(聞き手=本紙主幹・早川俊行)
――トランプ氏は選挙演説で「共産主義者、マルクス主義者、過激左派勢力を根絶する」と訴えるなど、強烈な反共主義者だ。
私はトランプ氏の代弁者ではなく、私個人の見解だが、トランプ氏は愛国者だ。彼は「米国を再び偉大にする」と訴えており、これは米国社会に甚大なダメージを与えてきた共産主義者や左翼、過激派の影響力に対抗することを意味する。
共産主義だけではない。DEI(多様性・公平性・包括性)やブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切/BLM)のような危険な左翼イデオロギーもそうだ。私は黒人が自由で公平に扱われることを願っているが、BLMなどの運動には急進的な要素があり、米国社会に大きな害をもたらしている。
――トランプ政権が復活した場合、トランプ氏の反共思想は、中国共産党に対する政策の基盤となるか。
トランプ氏は中国の悪質な影響力を非常に懸念している。彼は中国を米国や世界の存立を脅かす脅威と見ており、中国に立ち向かうことに極めて真剣だ。
トランプ氏の外交アプローチを反共主義と呼んでもいいが、それ以上に「米国第一」だ。自国や国民、労働者の利益を第一に考える。従って、米国が中国への恐怖や彼らの悪質な影響力に振り回されることはない。米国が主導する現在の世界秩序を守り、中国が主導する新たな全体主義的秩序を積極的に阻止する。
外交政策エリートやグローバリストたちがトランプ氏の「米国第一」に激しく反発するのは、彼らが極左・共産主義的な考えを推進しているからだ。トランプ氏はエリートたちの古いやり方と闘っており、反共主義者となるのはごく自然な流れだ。
――「米国第一」は自国の利益だけを考える孤立主義の印象を与える。だが、実際はリベラルなエリート層が推進するグローバリズムから米国民を守ることだと理解していいか。
その通りだ。「米国第一」とは、グローバリストや外交政策エリートたちに同調する米国の指導者たちに対するバックラッシュ(反動・揺り戻し)と言っていい。彼らが実行する政策は、ニューヨーク・タイムズ紙やハーバード大学ケネディ行政大学院には非常に受けがいいが、米国の労働者にはひどいものだ。
例えば、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、上院が可決しない見通しだったため、条約批准の採決を行わなかった。選挙で選ばれた議員の反対を押し切って米国民に押し付けたのだ。
つまり、「米国第一」の概念とは、米国民を第一にするというバックラッシュなのだ。外交政策を決定する時、まず自国民の利益を考える。これは決して過激な動きではない。
トランプ氏が孤立主義者でなかったことは極めて明白だ。世界中に関与する広範かつ洗練された外交政策を取っていた。トランプ氏を孤立主義者と言うジャーナリストは、嘘(うそ)をついているか、怠けているかのどちらかだ。彼らはトランプ氏の真の実績を見ていない。