【持論時論】家庭連合への不当な差別反対、取手市議の闘い 茨城県取手市議会議員 細谷典男氏に聞く

今年1月に行われた市議会議員選挙で、政府が解散命令請求を行った世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への差別反対を前面に打ち出し、前回の2倍近い票を獲得して当選した政治家がいる。茨城県取手市議会議員、細谷典男さん(73)。なぜ逆風に立ち向かい、落選の危惧さえあった選挙戦略を立てたのか。その理由を知りたくて、細谷さんに会った。 (聞き手・森田清策、写真・辻本奈緒子)

不公平な首相に異議申し立て

憲法違反は排除側にある 選挙で前面に押し出し2位当選

茨城県取手市議会議員 細谷典男氏
ほそや・のりお1951年生まれ。茨城県立竜ケ崎第一高卒業後、明治大学文学部史学地理学科入学。71年、日本電信電話公社(現NTT)入社。2004年、取手市議会議員に初当選。10年、茨城県議会議員。16年、取手市議会議員(無所属)。現在5期目。著書に「いばらき自民党研究」「奪われた北の島々―北方領土返還を求めて」「憲法と『旧統一教会』」がある。

――取手市議会議員選挙(今年1月)で、家庭連合への「差別反対」を訴えましたね。

議員任期4年間のうち後半2年は、安倍晋三元首相暗殺事件で世間が騒がしく、市議会もその影響を受けました。一昨年9月、市議会に提出された家庭連合と議員との関係調査を求める請願(紹介議員は共産党)について、賛否激しい議論を戦わせ、不採択にするという議会活動がありました。この議論で、私の立場、主張を公表し、有権者の審判を仰ぎたいとの思いで選挙に臨みました。

――請願に対する細谷さんの立場は。

私自身と家庭連合には、いわゆる「接点」は全くありませんでした。私の議会活動は、意見が分かれる問題では、両者の意見を聞いて判断することを信条としています。

家庭連合については「反社」「詐欺集団」など、非難する意見はいくらでもありました。しかし、一方だけの意見で判断するのはまずい。そう考えていた時、知人を介して教団側の意見を聞く機会を得たのです。

その結果、どう考えても「反社」には見えません。調査を求めた請願者に「取手で被害があったのか」と聞いても「確認したものはない」という。被害があれば問うべきです。しかし、被害がないのに、マスコミなどによって「反社」のレッテル貼りされていることに強い違和感を覚えました。

請願を審議してはっきりしたのは、憲法に違反しているのは教団を非難する側だということ。罪刑法定主義(憲法31、39条)に反しています。具体的な罪があれば罰しますが、それがないのに排除するのは憲法違反です。14条の「法の下の平等」にも違反します。

ですから、市議会では憲法に立ち返って議論した。結局、請願は圧倒的多数で不採択となりました。賛成したのは共産党だけでした。

――政府が解散命令請求した教団を擁護することは、選挙にマイナスになると考えなかったのですか。

現在、家庭連合には解散命令請求が出されています。それも事実に基づいていない理由によって進められています。議会での議論の後、家庭連合の関連団体である女性連合の活動を知りました。世界の困難な地に赴き献身的に奉仕し現地でも尊敬されています。このような活動を事実誤認の解散命令請求で失ってはならないと思っています。

私のできることは議会での取り組みをお知らせし、取手では何の問題も無い、解散理由など一つも無いことを世論に訴えることだと考えました。それも選挙という最も公正な場面で問うことが最善です。この訴えが選挙にプラスかマイナスかよりも逆にこれをチャンスと捉え、ここで存分に訴えようと考えました。

私の主張は著作「憲法と『旧統一教会』」を刊行して全て明らかにしました。また、ユーチューブでどなたでもアクセスしていただけるように公開もしています。選挙直前には議会での取り組みを特集した市政リポートを発行しました。選挙期間中は個人演説会を開き、即日公開しました。

私の旧統一教会に関する主張は一切隠すことなく、考え得るあらゆる手段で有権者にお届けしました。

結果は、獲得票数が前回に1000票を超えて上乗せし(1・9倍)、2位当選。地方選挙では100票増やすのも大変なのに、こんな伸びはありません。私の主張は否定されず多くの支持を頂きました。このことは取手では解散命令など必要ないということを市民が示してくれたことだと思っています。

――取手市議会とは対照的に、家庭連合との「断絶宣言」を決議した地方議会があります。

議論したのかが問題。相当な時間をかけて議論した取手市のように議論すれば、どこでも同じ結論になったはずです。公明党もしっかりしていました。「旧統一教会には賛成じゃないが、信者が意見を述べる権利は認めるべきだ」と、請願に反対しました。

――教団と関連のある団体をボランティア活動から排除した自治体もあります。

取手市ではそのようなことはありません。市民と接するあらゆる窓口において、家庭連合に所属するということで、他と異なる対応をするのか、と質問をしましたが、市役所から「そのようなことはありません」との答弁を引き出しました。

今は、どの地方でも厳しい状況で行政単独でできることは限られ、市民の協力が必要です。そんな中で、家庭連合は行政にとっても有益で役に立つと分かりました。ですから、この教団を解散させることは行政にとっても損失になります。

――解散命令請求の裁判手続きが進んでいます。

選挙で訴えたように私にできることと言えば、取手市でやったことを全国に紹介し、私が主張してきたことを理解してもらうこと。今は、全国の自治体が取手市のような行政になれば、問題は解決すると思い、各地で話をさせてもらっています。

どの地方でも、公正公平な行政を求めて、賛否両論がある場合は両方の意見を聞いて物事を決めるというのが議会の進め方です。ところが、政府は、片方の意見だけで解散命令を請求しました。

恐れ多いことですが、地方から「岸田文雄首相のやり方は不公平だ」と言いたかった。不公平極まりない首相への異議申し立てをしたいという思いで、市議会議員選挙に取り組んだのです。

【メモ】 取手市は約10万の地方都市。そこから全国に向け、政治、マスコミ、そして世論から「反社」のレッテルを貼られ非難され続ける家庭連合への差別反対を訴えるとは、並大抵の信念ではない。その原点を尋ねると、「民族差別」の体験だという。10歳頃、映画「にあんちゃん」を見た。その後に読んだ本で、映画で差別の中、貧しくもたくましく生きた4人の兄弟姉妹は在日朝鮮人と知った。そこから差別と人権への関心を強めていったことを聞き、この人の確固とした政治信念に「なるほどな」と納得した。細谷さんは「議会の取り組みの報告等を全国で行っています。ご要望はお気軽にお寄せください」と語っている。

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