宗教法人審議会の議事録公開を 岸田氏、マスコミを恐れ過ぎ 問われる政治の役割 浜田聡参院議員に聞く(下)

はまだ・さとし 1977年京都市生まれ。参院NHK党全国比例1期目。東京大学大学院(教育学)修了後、2011年に京都大学医学部卒業。放射線医勤務などを経て19年の参院選などに出馬し落選するも、立花孝志氏の自動失職に伴い参議院繰り上げ当選した。

――国会議員として家庭連合信者が主催する集会に参加した動機は。

3月20日に千葉市で開かれた「信教の自由と人権を守るシンポジウム」に参加した理由の一つとして、会合が予定されていた少し前の12日に参院総務委員会で質問する機会があった。その時に「自民党が関係断絶宣言をした団体(家庭連合)の集会に国会議員が参加することが不適切か」と質問した。一方で、会合に登壇する人の中にもともと家庭連合を敵視していた中川晴久牧師や中山達樹弁護士も参加するということで、話を聞いておいた方がいいと判断した。

実際に参加して大変勉強になった。中川牧師は、家庭連合の問題はオウム真理教事件の流れを引き継いでいるのではないかと言っていた。国民がオウムの流れを認識し、それを断ち切れないでいるというのは確かに説得力があった。

――自民党の岸田文雄総裁が家庭連合と関連団体との関係断絶をしたが、当時の印象は。

岸田氏は、影響力が大きいマスコミを恐れ過ぎていたのではないか。特に、テレビ局に家庭連合への対決姿勢があるとすれば、岸田氏が判断したことは分からなくない部分はあるが、少し厳しいという印象があった。

――家庭連合の信者から直接声を聞き、国会などで取り上げているが、周囲の反応はどうか。

特に目立ったプラスもマイナスもない感じだ。プラスの感想として、主に家庭連合の人々から多くの声が寄せられているので、一つの意義があると思う。

700人もの国会議員がいて、1人として家庭連合について取り上げないのはおかしい。野党はもちろんだが、与党側にもいない。自民党などが関係断絶宣言をしていて、なかなか取り上げる政党がない。本質的には、自分だけではなく他の政党も動かないと厳しいが、鍵を握るのは公明党だと思う。党の方針として、国政や東京都議会などで常に与党側に付くという方針を持っている。解散命令請求は家庭連合にはしたが、創価学会にはさせないという方針を貫くとしても、野党になれば創価学会も解散に追い込まれる恐れがある。

――文部科学省が家庭連合の解散命令請求を東京地裁に起こした。手続きの評価は。

2022年10月の参院予算委員会で岸田氏は、これまでは刑法に抵触するものでなければ宗教法人への解散命令請求はできないとしていたものを、一日にして民法の不法行為も含み得ると解釈変更したことは多くの人が疑問に思っているところだ。

過去、解散命令請求に至ったのはオウム真理教と明覚寺だけだ。オウムは何人もの人を殺害したし、明覚寺は明らかな詐欺で解散命令請求に該当するが、家庭連合がそれに値するかは疑問がある。解釈変更が閣議決定でできてしまうのは大きな問題で、最終的に法改正すべき内容と考える。

それから、文科省内の宗教法人審議会の議事録は原則公開であるにもかかわらず非公開になっている。総務委でも質問したが、裁判結果が出た後は公開になるという答弁だった。隠せば隠すほど国民が知りたくなるという警告はその場で伝えた。

また、文化庁の合田哲雄次長が審議会で根回しして解散命令請求に抑制的な意見を抑え込んだ上で、各放送局に圧力をかけていたという話もある。

このあたりの根拠となるものが出てくるのであれば、国会で扱おうと思っている。

――マスコミや政治家が家庭連合を敵対視する風潮は司法に影響を与えかねないだろうか。

基本的には法律にのっとって判断されるべきだが、裁判官は人なので、ある程度、民意を気にしている。それを踏まえて家庭連合はたたかっていく必要があるだろう。

 (聞き手・豊田 剛)

spot_img
Google Translate »