「潜入 旧統一教会」著者 窪田順生氏インタビュー(6)「令和の非国民」となった信者

――政府、マスコミ、世論が相乗効果作用を起こし、無自覚の〝思想・宗教統制〟になっている。

ファシズムの始まりを感じる。最初は信教の自由から奪って、次は言論の自由を奪う。急に厳しい統制をするではなく、じわじわ強めている。本を出版して実感するが、周囲から袋叩きにされれば沈黙する人も出てくる。そうすると、国家がどんどん統制してくる。「この方向のものはよろしい」と、国家が決めたもの以外は「反社」となる。そんな世の中に向かう第一歩だと思う。

<前回>「潜入 旧統一教会」著者 窪田順生氏インタビュー(5)首相は〝パンドラの箱〟開けた

岸田文雄首相のように「社会的に問題のある団体とは今後、一切関係を持たない」と言ったら、反自民側の人間は、創価学会など他の宗教団体の社会的問題を指摘し続ければいいわけだ。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)とは絶縁宣言し、ほかの宗教団体とは絶縁しないのか、連立など組んでいる場合ではないだろう、という話になる。 岸田首相は何の考えもなく、自民党のアイデンティティーを破壊してしまったと言える。

しかも、思想・信教の自由に手を付けたら、社会は恐ろしいことになる。そこまで考えが及ばず、支持率が下がるので「ヤバイ」ということでやってしまったのだろう。また、文化庁の役人は、総理の指示だから解散命令請求を出さなければ残りの役人人生は真っ暗となるから、是が非でも請求しなければならなくなった。

そこでやったのが、過去にさかのぼって被害者の話を積み上げること。その一方で、現役信者の話は聞かない。通常、問題があるというなら、まず問題があると思われる教団の信者に話を聞かなければならない。

それをやらずに、20年前にやめたという元信者の話ばかりを聞いて、それを積み上げて「こんなに被害がある」と言えるのなら、創価学会も危なくなる。すごく無理筋の話が進んでいるのだから、本来、メディアがそれを指摘しなければならないが、逆に世論調査で「支持」が圧倒的だということで喜んでいる。みんなが賛成することなら超法規的なことも許される恐ろしい状況だ。

――四面楚歌の信者の立場を、著書では「令和の非国民」と表現した。

信者は気を悪くするかもしれないが、「非国民」と書いたのは、戦時中の非国民と同じになってしまったという意味だ。

非国民と言われた人たちは、〝非国民排斥法〟のような法律があって叩(たた)かれたわけではない。メディアが当時、日本国民の命運を懸けた一戦の時に「戦争に反対するとは非国民なり」という記事を盛んに書いた。軍人らの話を紙面に掲載し、ラジオで流したので、非国民という言葉が広まり、一般人が戦争に反対する人をみんなでリンチしたりした。

さすがに今、旧統一教会信者はリンチされない。しかし、ホールを貸してもらえないし、夏祭りには来ないでくれ、と言われ、非国民のような扱いを受けるようになっている。これはマスコミ報道と、岸田首相の絶縁宣言と深く関わっている。

――マスコミの人間も、非国民は怖いから会わない。

私も梶栗正義・国際勝共連合会長にインタビューした後、マスコミの知り合いに「俺が紹介するから、インタビューして話を聞いたらどうか」と勧めた。しかし、「何をされるか分からない」と恐れ拒否する。会って話を聞くだけでも「嫌だ」という。

実像以上に怖いイメージが出来上がっている。話が通じないと思っている人が多い。本を出すことで、そのイメージを壊したかった。信者は饒舌(じょうぜつ)に話してくれるし、価値観が異なる部分があるかもしれないが、「対話のできる人たちですよ」と。

(聞き手・森田清策)

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