米社会の「分断」が激化する中、次期米大統領選はどのような意味を持つのか。麗澤大学のジェイソン・モーガン准教授に聞いた。(聞き手=編集委員・早川俊行)
――現在の米社会をどう見る。
一言で言えば、カオスだ。子供たちの体が戦場になっている。LGBTイデオロギーにより、子供たちまでもトランスジェンダーとして性転換することが奨励されている。純粋な子供たちの性器や乳房を手術で切除するというのは、もはや悪魔の所業としか思えない。
人工妊娠中絶も好ましい行為と見なされ、中絶回数を自慢したり、パフォーマンスとして妊娠と中絶を1年間繰り返したりする人までいる。
性器の切除や中絶がリベラル主義の「儀式」になっている。まるで悪魔を崇拝する「死のカルト」だ。ワシントンのエリート層の根幹には、人間や生命を敵視する「反人間主義」がある。
これはマルクス主義より恐ろしい。最初からユートピアではなくディストピアを目指しているからだ。この新たなイデオロギーのウイルスを世界中にばらまくワシントンは人類の敵だ。
――ワシントンのエリート層は米国をどのように変えたいと思っているのか。
「どう変えたい」ではなく「どう変えた」と、過去形で語るべきだろう。彼らが米国を破壊する武器として使っているのが移民だ。約1800万人が不法入国しており、これは「侵略」と言っていい。
米国はバチカンを除けば、世界で唯一、理念に基づいて建てられた国だ。建国の理念を知らない移民が大量に流入すれば、国民をまとめてきた米国の「神話」が崩れ、バラバラになる。理念なき米国は内戦に陥るか、部族主義、種族主義になるだろう。
――現政権は宗教をどうみているのか。
反人間主義のワシントンのエリート層にとって、人間の価値や尊厳、善悪を教える宗教は、絶対に邪魔な存在だ。
連邦捜査局(FBI)は2022年9月、カトリック教徒で反中絶活動家のマーク・ハウク氏に対し、まるでウサマ・ビンラディン(国際テロ組織アルカイダの初代指導者)を捕まえるかのように自宅を襲撃し、拘束する事件が起きた。私は同氏にインタビューしたが、胎児にも価値があると訴えていただけだ。このような人物を弾圧する今のワシントンは、完全にファシスト政府だ。
――多くの草の根有権者がトランプ前大統領を支持するのは、エリート層への反発からか。
その通りだ。トランプ氏は既に4回も刑事訴追されているが、訴追されるほど支持が高まっている。ワシントンに屈しないトランプ氏は今や国民のヒーローであり、個人を超えて米国復活の象徴となった。
トランプ氏の発言や政策はどうでもいい。女好きで不倫を繰り返す人物であることも分かっている。それでもトランプ氏がファシスト政府を止めることが重要なのだ。これは米国だけでなく全人類の幸福につながる。次期大統領選はわれわれからすべてを奪ったワシントンに仇(あだ)討ちをする忠臣蔵なのだ。
――トランプ氏への支持が広がるほど、反対派の抵抗も強まることが予想される。
ワシントンはこれまでもトランプ氏に対して事実上のクーデーターを繰り返してきた。ロシア疑惑、弾劾訴追、J6(21年1月6日の連邦議事堂乱入事件)、そして刑事訴追だ。だが、刑事訴追は完全に失敗した。
最近ではコロラド州とメーン州が、トランプ氏の出馬資格を認めない判断を下した。エリートたちはこれを称賛し、他州も追随しようとしている。
次に考えられるのは、暗殺という最終手段だ。トランプ氏はワシントンというファシスト帝国を終わらせようとしているだけに、暗殺リスクは決して低くない。
――日本は米国とどう向き合うべきか。
日本は米国が中国を抑止してくれると期待しているが、モンスター化した中国を育てたのはワシントンだ。最近他界したキッシンジャー元米国務長官がその代表だ。そんなワシントンが日本を守るはずがない。日本の親米保守はもう詐欺師にしか見えない。
米国のLGBT運動を絶対に真似してはいけない。自分の性器や乳房を切除して後悔する人が増えているが、LGBT当事者を利用してカオスや不幸を広げることがそもそもの目的なのだ。家族や社会の絆が失われ、多くの人が孤独になった社会は支配しやすくなるからだ。悪魔はそもそもカオスを狙う存在だ。
日本は米国の圧力でLGBT法を成立させてしまった。このままでは恐ろしい未来が待っており、抵抗しなければならない。