「潜入 旧統一教会」著者 窪田順生氏インタビュー(2)陰口覚悟で信者の声伝える

くぼた・まさき テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。新刊『潜入 旧統一教会 「解散命令請求」 取材NG最深部の全貌』が発売中。

――「反社会的」「反日カルト」と糾弾される教団を擁護するつもりはなくても、その言い分を載せただけで批判が予想される。

実際、言われている(笑)。国際勝共連合の梶栗正義会長にインタビューした時も「あんな人たちの話を聞いても意味ない」「どうせ嘘(うそ)しか言わない」と、メディアの人間から言われた。

<前回>「潜入 旧統一教会」著者 窪田順生氏インタビュー(1) 偏った情報源に頼る記者たち 安倍氏との“闇の関係”に違和感

だが、私は教団側の人間が何を語るのか興味があったし、フェアな報道という意味でも当然載せるべきだと考えていた。プレジデントも理解があった。しかし、インタビュー記事を発表後、ネットでは「問題のある人たちの言い分を載せるとは何事だ」「こんな連中の言い分を載せるとはプレジデントも地に落ちた」とずいぶん叩(たた)かれた。

その後も、教団や関連団体や信者を弁護している弁護士の記事を載せたらどうか、といろんなメディアに提案しても「無理」と断られた。それを載せると、「問題のある教団を利することになる」「被害者の感情を考えたらできない」というのがその言い分だった。むしろ「窪田は洗脳されている」「金をもらっているのでは」と陰口みたいなことを言われることも多くなった。

もともと評判のいい人間じゃないので、あまり気にしないが(笑)。こういう世界だから、自分の考え、主義・主張と違う側からいろいろ言われるのには慣れている。一般人よりもメディアの人間は、自分たちが取材していないものだから余計批判してくる。

もちろん、理性的な人もいて「必要だ」との声もある。しかし「ただうちはできない。窪田君のやっていることはすごい意味もある。相手の言い分を伝える報道をしないというのはマスコミがおかしいよね」と一応、評価してくれるが、最後は「応援している」で終わる。

「一緒にやってくれないのか」という感じ(笑)。皆さん組織人で、自分がいいと思っても上司からはねられる。出版の企画もいろんな出版社から落とされた。担当編集者や親しい編集者は「やるべきだ。うちの出版社がやらないで、どこがやるんだ!」と張り切る。しかし、1週間ぐらいして会うと、「申し訳ない。やっぱり上司が……」とうなだれる。

妙な話、ヤクザの自叙伝や犯罪者の告白本を出している出版社でも同じだった。そっちの方が問題だと思うのだが、そんな経験をしていると、旧統一教会を巡っては、今回おかしなことが起きている。

――本の出版への攻撃は覚悟の上だった。

人によっては、私の信用を貶(おとし)めるような話をメディアに流したり、「この人間を使うな」と言ってきたりするだろうと考えた。

窪田氏が内部取材して上梓したルポルタージュ

でも、しっかり取材し教団信者の話を聞いた上での私の意見だ、ということで世に出している本だ。後ろ指をさされたり、陰口をたたかれたりしても、「だったら、この本を読んでみて、本当にそうか確認してください」と形として示せる。

ネット上の記事やユーチューブのドキュメンタリーだけだと、怪しいライターが好き勝手なことを主張していると思われるが、本という形にまとめることに意味がある。旧統一教会を追及する弁護士からも、「教団のPRじゃないか」と批判されることが予想されるが、「本を最後まで読んでください。PRになっていますか」と示すこともできる。教団を批判的に捉えている信者の話も載っているし、無神論者の私が「普通に取材して書いただけだよ」と、反論できると考えた。(聞き手・森田清策)

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