「財産保全」規定の必要性なし 疑義帯びる「家庭連合」解散請求 国際弁護士 中山達樹氏に聞く(下)

根拠ない全国弁連の主張

なかやま・たつき 1974年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒。2005年弁護士登録、10年シンガポール国立大学ロースクール修了。シンガポール法律事務所での国際弁護士を経て、15年中山国際法律事務所を開設。16年公認不正検査士、リー・クアンユー公共政策大学院修了。主な著書に『グローバル・ガバナンス・コンプライアンス』など。

――財産保全が国会で野党を中心に議論されたが、どう捉えているか。

法律を構築する際には、「必要性」と「許容性」が問われる。必要性とは文字通り、その法律が必要な社会状況があることを指し、許容性は人権保護や他の法令とのバランスなどだ。

<前回>「継続性」の明確な指摘なし 雲散霧消した「3要件」 疑義帯びる「家庭連合」解散請求 国際弁護士 中山達樹氏に聞く(中)

財産保全法案については、信教の自由の観点から「許容」できるのかという議論が多いが、私はむしろ「必要性」の問題にスポットライトを当てたい。そもそもこの法案を作る必要があるのか、ということだ。全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)などは、多額の「被害」があるから必要だと強調しているが、証拠のない「被害」がほとんどだ。最近では三重県四日市市の94歳の元女性信者が1億円以上の提訴を取り下げたこともあった。

この1年間で、教団は自主的に約40億円を返金したと発表している。一方、全国弁連の弁護士が多数集まっても、証拠らしい証拠を集められていないのが現状だ。ようやく出してきた三重県の訴訟も結局取り下げた。弁護士の目から見ると、被害も被害者もゼロと言っているに等しい。だからこそ、全国弁連が主張している1000億円の被害というのがどれだけ「盛った」数字か分かるだろう。

つまり、そもそも財産保全という法律を作る「必要性」が存在しないのではなかろうか。与野党がそろって財産保全の法案作りに勤しんでいたが、これは結局のところ、教団をプロパガンダ的に攻撃したい全国弁連の目的と、国民受けする実績を作りたい政治家側の意向が合致しただけだ。両者による国民への「アピール合戦」の様相を呈している。

2018年に消費者契約法が改正され、いわゆる「霊感商法」もその中に盛り込まれたが、これにも全国弁連が大きく関わっていた。しかし、改正したからといって眠っていた新たな被害者が救済されたという話は聞かない。昨年の被害者救済法も同じようなものだろう。全国弁連としては、とにかく世間に教団が「悪」という印象を強烈に植え付けて、その印象が消えない間に解散まで一気に追い込もうとしている。

――教団は改革を進めているが、今後何が必要になるか。

改革を考える上で、二つのパターンを考えなければならない。一つは解散命令請求が裁判で審理されている期間にすべき改革、もう一つは請求が棄却されて教団が解散されなかった後の改革の2種類だ。

請求が通ればそれまでなので、まず裁判結果が出るまでの期間の改革について考えてみる。「二世の会」のシンポジウムのように、世間に対してマインドコントロールされていない実像をアピールしていくことが重要だ。実像を知れば、裁判官も解散に値する団体ではないと分かるはずだ。

もし解散を乗り越えることができれば、今度は対話を進めていくことが大切だろう。一世と二世による世代間の対話、それから信徒と教団以外の人との対話を実践していくことなどが考えられる。世間の人たちが教団に対して持つ極端なイメージと、実際の一市民としての信徒の姿を中和させていく必要がある。

かつてサイエントロジーも米国で「カルト」呼ばわりされて強い反対に遭ったが、生き延びた。そこには戦略があり、メディアなどを駆使して宗教団体のリアルな姿を示し、一般市民の「よく分からない団体」という認識の空白を埋めていく方法だった。

知らないものへの恐怖は大きい。家庭連合は空白を埋める作業を全国弁連などに独占され、世間から「よく知らない恐ろしい宗教団体」という認識を植え付けられた。

強制棄教を目的とした拉致監禁もまた空白であり、そこの埋め方次第で、反統一教会側の偽善を糾弾することにもなる。(聞き手=石井孝秀、岩城喜之)

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