「継続性」の明確な指摘なし 雲散霧消した「3要件」 疑義帯びる「家庭連合」解散請求 国際弁護士 中山達樹氏に聞く(中)

――「組織性」「悪質性」「継続性」の3要件について、これまで中山弁護士は「(教団は)該当しない」と強く主張していた。

文部科学省の解散請求に関する記者配布資料をよく読むと、この3要件は全く示されていない。「継続性」に至っては何も指摘していなかった。世界平和統一家庭連合(家庭連合)が出した2009年のコンプライアンス宣言のことなども全く触れていない。議論がかみ合っていない。

<前回>疑義帯びる「家庭連合」解散請求 国際弁護士 中山達樹氏に聞く(上) 懸念される全体主義的暴走

昨年10月、岸田文雄首相は一夜にして法解釈を変更し、「3要件があれば民法を含む」とした。だが今年10月に出された解散命令請求段階で「3要件」は雲散霧消していた。継続性については明確な指摘すらしないまま、文理解釈や立法過程などを根拠に民法を含むとした。

1年前、政府は「3要件があれば民法を含む」と言っていたのに、1年後にやったことはこれと一致しない。いわば「はしご外し」だ。

なかやま・たつき 1974年、神奈川県生まれ。東京大学法学部卒。2005年弁護士登録、10年シンガポール国立大学ロースクール修了。シンガポール法律事務所での国際弁護士を経て、15年中山国際法律事務所を開設。16年公認不正検査士、リー・クアンユー公共政策大学院修了。主な著書に『グローバル・ガバナンス・コンプライアンス』など。

――文科省は、岸田首相の「3要件があれば民法も含める」との国会答弁を重視していなかったということか。

その通りだ。こういった「ちぐはぐ感」は、裁判官ならすぐ分かるだろう。それ故、今回の解散請求が論理や法律ではなく、「政治」であることも一目瞭然と言える。ある意味、文科省のこうした強引な手法は裁判では教団側に有利に働くかもしれない。一方で、「財産獲得の受け皿」とネガティブな表現で書かれている点は、「ここまでひどく書かれているならば、よくない団体なのだろう」と裁判官も思ってしまいかねない。

全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)など反統一教会派の偏見が、行政を通じて裁判官に伝わり得る構図となっており、極めて危険に感じている。

――家庭連合の田中富広会長が記者会見で示した60億~100億円の供託金を政府に預けるという案には効果があるか。

本当に「被害者救済」という目的で考えるなら、十分効果がある。供託金について簡単に説明すると、例えば、債務者がAとBのどちらにお金を支払えばいいか分からない状況にあるとする。分からなくても「いつまでに払う」という支払期限がある場合、それまでに供託所にお金を預けるという制度だ。たとえ制度がなくとも、逃げないお金を用意することは「被害者救済」にかなっている。

会見した世界平和統一家庭連合の田中富広会長􀀀7日、東京都渋谷区(石井孝秀撮影)
会見した世界平和統一家庭連合の田中富広会長=7日、東京都渋谷区(石井孝秀撮影)

教団側が供託金案を出したことについて、「交渉に応じないことの表れ」という批判があったが、的外れだ。全国弁連側は1000億円という被害を主張し、「100億円では足りない」と反論している。しかし、被害の実態はほぼない。裁判をしても負けることが分かっているので、裁判を行えないのが現実だ。

全国弁連側も本音は「統一教会退治」しか考えておらず、被害者の救済という考えはあまりないのだろう。供託金について一切検討もせず、頭ごなしに非難しているのはその意識の表れだ。

弁連側が一向に裁判所へ被害の証拠を提出しない点や、そもそも被害者救済と言いながら具体的な救済方法について議論を進める気配がない点を見ても、実際の被害は全国弁連側の主張とは懸け離れたものであることは間違いない。

もし弁連側が裁判を起こし、負けてしまうと「債権なし」と認められる。全国弁連としては、なるべく引っ張って裁判せず、請求を維持したまま解散に持ち込み、清算手続きで分配されれば、自分たちの成功報酬も減らない。そう調整している可能性もある。

(聞き手=石井孝秀、岩城喜之)

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