ハマス憲法にナチスの影響 反ユダヤ主義の深層(中)世界反ユダヤ主義政策研究所所長 チャールズ・スモール氏

イランのアブドラヒアン外相(左)と 握手するイスラム組織ハマス最高指導 者のハニヤ氏(イラン外務省提供)= 10月31日、ドーハ(EPA時事)

――イスラエルへの残忍な攻撃を行ったイスラム組織ハマスのイデオロギーには、反ユダヤ主義の要素があるのか。

彼らの憲法である「ハマスの規約」を参照してほしい。これは一部過激派や軍事部門だけが信じているものではなく、これこそがハマスの存在目的であり、彼らの本質なのだ。

<前回>過激イスラムと極左の「同盟」反ユダヤ主義の深層(上)

イスラム組織ムスリム同胞団を母体とするハマスは、欧州の反ユダヤ主義とナチズムを、曲解されたイスラム教の教義と融合させている。そして、彼らはナチスによるホロコーストの一因となった『シオン長老の議定書』(ユダヤ人が世界征服を計画しているとする偽書)やその他のあらゆる反ユダヤ主義的な嘘(うそ)を取り入れた。

ノーベル平和賞受賞者でホロコーストの生存者であった故エリ・ヴィーゼル氏が常に説いていたのは、ホロコーストは強制送還列車やガス室、火葬場から始まったのではなく、言葉や思想から始まったということだ。

ホロコーストを引き起こしたのとまったく同じ言説や考え方がハマスの憲法にある。彼らはイスラエルの破壊だけでなく、世界中のユダヤ人の殺害を求めており、世界の悪のすべてはユダヤ人のせいだとしている。 だから、ハマスがイスラエル南部で行った残忍な攻撃は、まさに彼らの憲法や使命に基づくものだ。西側諸国の人々や大学関係者は、これを認識するべきである。彼らは一貫しており、率直なのだ。

西側諸国の進歩的な人々は、イスラエルの「脱植民地化」という歪(ゆが)んだ理論を掲げ、野蛮なハマスを擁護している。これは信じられないことだ。ハマスの行為は、明確な意図を持った殺戮(さつりく)であり、あらゆる良識に反している。

――ムスリム同胞団とハマスを支援するイランの関係は。

ムスリム同胞団はスンニ派社会のエジプトで始まった。これに対してイランの革命政権はシーア派だが、興味深いのは、ムスリム同胞団の理論的創始者たちがイランで尊敬を受けていることだ。

急進的シーア派と急進的スンニ派は、イデオロギー的には盟友であり、イランの政権は、シーア派の世界にいながらムスリム同胞団のイデオロギーを採用し、推進している。

ハマスもムスリム同胞団の一部であり、カタールとも非常に親密だ。そして、イランとその代理勢力たちは世界各地で同胞団とつながっている。彼らはエジプトで生まれたムスリム同胞団の教えに基づくイスラム革命を継承し、推進している。

――米大学に多額の資金提供をしてきたカタールは、ハマスを支援する一方、米国とも軍事・経済的な関係を持っている。

カタールとハマスの関係は非常に明確で、ハマスの指導者たちは同国で贅沢(ぜいたく)に暮らしている。カタールはハマスとその指導者たちに何十億㌦もの資金を提供している。

国際社会は、ハマスの指導者をオランダ・ハーグに送還し、国際刑事裁判所にかけるようカタールに求めるべきだ。カタールは、1200~1400人以上もの罪のない市民の虐殺を組織した人々を匿(かくま)い、財政的に支援し、彼らの言いなりになり続けている。これは酷(ひど)いことであり、国際社会は何らかの対応をすべきだ。

米国は、重要な軍事基地の一つがそこにあるという事実について再考すべきだ。

また、多くの米大学がカタールにキャンパスを構えている。大学は、異なる背景を持つ人々が集い、真理や民主主義社会において良き市民になる方法について探究し、議論する場所であるはずだ。

米国やフランス、カナダ、英国のリベラルな大学が、ユダヤ人や同性愛者の殺害や女性蔑視を賛美し、資金提供するカタールにあるなど、信じ難い悪夢だ。大学のあるべき姿に背いている。

(聞き手=ワシントン・山崎洋介)

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