被害情報の再検証が必要だ 「家庭連合」解散請求どう見る?ユーチューバー・三津間弘彦氏に聞く(下)

みつま・ひろひこ 昭和60年2月、千葉県生まれ。もともとの専門は中国古代史。最近は、個人的に気になった時事問題の評論をユーチューブなどで配信している。大東文化大学中国学科(現・中国文学科)卒・博士後期課程満期退学。 ユーチューブ・チャンネルURL https://www.youtube.com/@MitsumaHirohiko_Kihon

<前回>反共思想でイメージ変わる「家庭連合」解散請求どう見る?ユーチューバー・三津間弘彦氏に聞く(中) 

――世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求について、新聞・テレビには「請求が遅すぎた」と自民党政権を批判する論評はある。しかし、異議を唱える主張はほとんどない。そんな中で、教団擁護のスタンスを取る三津間さんのユーチューブ発信は異色だ。

教団バッシングで注目すべきは、まず教団に大きな問題があることを無条件の前提として(保守から左派リベラルまで)識者による議論が進められた点にある。私も当初、その論調に合わせてしまった。

すでに指摘したように、安倍晋三元首相暗殺事件後、教団が健全化していたにもかかわらずストローマン論法で情報が歪(ゆが)められ、教団=悪が「事実」化されてしまった。深刻なのは、その情報の歪みが、国の法制度を変える(被害者救済法成立、解散命令要件に民法の不法行為が加わる)に至ったことだ。

一連の経緯は今後、報道に基づく情報の価値が問われる歴史的にも重要な事例となるだろう。

――情報の歪みをもう少し具体的に。

例えば、解散命令請求の直前、教団の被害をモデルとした詐欺被害防止を啓蒙(けいもう)するテレビ番組が放映された。そのモデルとされる被害者の元信者は、強制改宗を受けた人ではないか、という指摘がある。

昨年、教団による「洗脳」「マインドコントロール」が一時期話題になった。だが、もし洗脳・マインドコントロールが実際にあるならば、むしろテレビに出演した元信者は、そもそもが強制改宗の被害者である可能性が高いことになる。

実際、事実として、後藤徹氏が受けた強制改宗(12年5カ月間監禁された)の被害は、最高裁判決(2015年)でも認められている。この事例を見ても、報道された元信者による被害報告の信憑(しんぴょう)性には疑念が生じる。

より深刻な事実は、後藤氏の件に関わった「脱会屋」と呼ばれる人物が立憲民主党のヒアリングにおいて、教団に対する一方的な証言を行っていることだ。これは文部科学省が提示した被害情報も、再検証が必要なことを意味している。本来、こうした政治的な疑惑を検証するのがマスコミの役割のはずだが、いまだに強制改宗の話は大手の報道に出てこない。

もちろん、判断は裁判所が行うのだろうが、先入観なしに見れば、解散に当たるような条件はないというのが現時点での私の結論だ。

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