「家庭連合」解散請求どう見る? ユーチューバー三津間弘彦氏に聞く(上)
――ユーチューバーとして、時事問題について発信するようになったのはいつからか。
ユーチューブ発信は2021年8月から始めた。もともとは中国古典の紹介や陰謀論・都市伝説系のユーチューバーを目指していた。しかし、現在の政治や報道のあり方に不安を覚えるようになり、何か言わなければならないと考えるようになった。そこから政治・時事問題をテーマにした発信がメインになった。

――なぜ陰謀論をテーマの一つにしようと考えたのか。
陰謀論の存在はある意味、表現の自由が保障されていることの証明だ。つまり、表現の自由を象徴しているとも言える。
歴史を振り返ると、事件や政治が事実であっても、当時の人たちからすればその話自体が陰謀論であった場合が少なくない。例えば、戦艦「大和」や米国の「原爆」の存在は当時、最高軍事機密で一般の人は知らなかった。陰謀論扱いされたものが、実在したという例は枚挙に暇(いとま)がない。だからこそ、陰謀論自体は政治の動きや社会現象を探求する上で、完全に否定されるべきものではないと考えた。民主主義的な議論の可能性を伝えるために陰謀論系ユーチューバーを目指した時期もあった。
陰謀論がデマとなって社会的に損失を与えたり、誰かを陥れたりする場合がある。しかし、それは自由な討論で克服されるべきだ。
――世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は「陰謀団体」「反社会的」と言われる。文科省も解散命令請求した。三津間さんのように、〝教団擁護論〟とも受け取れるスタンスで発信するユーチューバーは少ない。
これまで旧統一教会とは何かと問われれば、政治の裏で暗躍する悪の宗教団体「カルト」というイメージが、私の中でも先行していたことは否定できない。それでも教団を巡る問題の発信を始めたのは、安倍晋三元首相暗殺事件直後から、安倍氏の名誉をおとしめたり、テロを正当化するような言論が拡大したことに不安を抱いたからだ。
――その過程で、教団に対するイメージが変わったのか。
例えば代表的な負のイメージとして北朝鮮との関係がある。だが、教団の友好団体である「国際勝共連合」(反共の政治団体)や教団の共産主義と対峙(たいじ)する思想から見ると、この問題もかなり違った形で見えてくることに気が付いた。