「中国は歴史を直視せよ」 元台湾副総統・呂秀蓮氏インタビュー(下)

インタビューfocus

安倍元首相銃撃事件 多くの疑問

――「台湾有事は日本有事」の言葉を残した安倍晋三元首相が銃撃された。この事件をどのように見ているか。

インタビューに答える台湾、呂秀蓮・元副総統=25日都内で

安倍元首相は台湾の良き理解者で、台湾人は安倍首相が亡くなったことを悼んだ。私も面識があり、亡くなったことはとても悲しい。

あの事件を映像で見る限り、街頭で演説を行うにしては安全面に問題があったのは明らかだ。検証することは多いのではないか。

私は2004年に陳水扁元総統と共に遊説中、銃撃された。1人の被害者として、当時のことを調べると、疑問に思う部分が多い。

犯人とされたのは、陳義雄という男性。事件後に台南市の港で溺死しているのが発見された。遺体は、網に絡まった状態だったので、自殺ではなく溺死させられたのではないかと私は考えている。

民進党政治に不満を持っていたようで、批判していたそうだが、民主主義であれば政府批判があるのは当然だろう。彼は特に犯罪履歴も、射撃経歴もなかったにもかかわらず、検察官は、陳義雄氏が私たちを暗殺しようとしたと結論付けた。

事件当時、陳水扁元総統と私は支持者とSPに守られていた。その中で、彼が我々に2発を正確に当てて逃走することは果たしてできたのか。

私自身の経験を考えると、一般人が首相を銃撃したのに、そこに留(とど)まり捕まったことを疑問に思っている。他に疑いのある人物がいるのではないか。

――来日して感じたことはあるか。

日本は米国との関係も良く、台湾と違って侵略してこようとする国もない。恵まれているからか、日本人の政治への関心が薄いように感じた。

台湾人は政府との関係がどれほど重要なのか理解している。民主主義国家であるから、人々が政府をよく見ていないといけない。

古代ギリシャの哲学者プラトンは「政治に参加しない代償の一つは劣った者の采配を受けることになることである」という言葉を残した。これをよく考えないといけないのではないか。

(聞き手・豊田剛、村松澄恵、竹澤安李紗)

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