処理水放出 長続きしない韓国左派の反対

 処理水の海洋放出が開始された東京電力福島第1原子力発電所=24日午後、福島県(時事通信チャーター機より)
東京電力福島第1原子力発電所の処理水が今月24日から海に放出されたことを巡り、韓国左派の反対が強まっている。今後の見通しや日韓関係への影響について2人の識者に聞いた。(聞き手=ソウル・上田勇実)

「狂牛病・THAAD」が教訓に

世宗研究所日本研究センター長 陳昌洙氏

世宗研究所日本研究センター長 陳昌洙氏

――処理水放出で韓国では野党議員や市民団体の反対が強まっている。韓国国内はどうなるだろうか。

放出してしばらくは大騒ぎが続くだろう。でも、それで終わるのではないか。なぜなら、まず国際的にこの問題が騒がれていない。中国と韓国の一部、それに北朝鮮だけが反対している。そして海流が韓国より先に到達する米国が反対していない。米国が反対しない限り、国際的にも大問題にはならない。

また韓国の科学者たちの中で反対する人は事実上1人しかいない。しかも以前はその人も賛成していた。なぜ所信を曲げてまで反対するのか、その理由に疑問が投げ掛けられている。今は政治家や市民団体が騒いでいるだけだ。

――だがメディアも批判的だ。

ハンギョレ新聞や京郷新聞など主要な左派系メディアは反対している。国際的な基準としては問題ないと分かっているはずなのに。反対する人は何があっても政治論理で反対する。国内の中間層も放出に不安を抱いているだろうが、だんだん納得するしかないと思うようになるのではないか。

――韓国では2008年の米国産牛肉輸入再開を機にいわゆる狂牛病騒動が起き、時の李明博政権の退陣を求める大規模デモが発生した。その二の舞を演じるのではないかという危惧はないか。

狂牛病騒ぎや、対北抑止で配備した高高度防衛ミサイル(THAAD)システムに伴うレーダー波が人体や農作物に悪影響を及ぼすのではないかというTHAAD騒動など、結局は左派が保守政権批判という自分たちの政治的目的のために反対しただけだったということを国民もだいぶ理解するようになった。今回は尹錫悦政権がそういう動きに対応することができるはずだ。もちろん放出直後はしばらく大騒ぎが続くだろうが。

――反対は長続きするだろうか。

長続きさせようとしているが、とても来年4月の総選挙までは続かないだろう。ただ、韓国政府の姿勢を問題視することはある。尹政権がいつも日本の言う通りにするのは問題だと。ある程度、火種として残る可能性はあるが、それが政治的争点になって大きなインパクトをもたらすことはないだろう。

――結果的に「夏ごろ」という当初の予定通りの放出になった。時期は適切だったとみるか。

早く放出して良かった。もちろん疑問などは残るだろうし、ALPS(多核種除去設備)というのは本当に大丈夫なのか、30年間、日本側が管理できる体制を持っているのかなど、今後のことについては不信感もある。原発事故後に東京電力が見せた姿勢などを考えると、あまりうまくできないのではないかという思いも抱いている。

少数の人たちの反対は続くだろうが、それが来年総選挙の票に影響するとは思えない。狂牛病の教訓もあって反対勢力に疑いの目を向ける人もいる。

安全規制機関の左傾化も問題

前韓国原子力安全委員会委員 李炳昤氏

――処理水放出で韓国社会が揺れている。

韓国は無条件的に「反日」を掲げる左派系野党の扇動がある。これに加えて左派系メディアも国民を「反日」に扇動し、保守系メディアまで一部を除けば態度がどっちつかずで曖昧な主張をするのが問題だ。

――原子力安全規制をつかさどる安全委員会が、今回の処理水問題であまり発信していない。なぜか。

原発汚染水がALPS処理水を経てきれいになるという事実を国民に積極的に知らせる責任があるのに、極めて消極的であり受け身だ。これは安全委が全体的に左傾化している影響によるものだ。

――委員会のメンバーは文在寅政権時に任命された人たちか。

多くがそうだ。一番問題なのは委員長が文氏と同様、脱原発を主張していることだ。任期は3年で来年12月までだが、現在の任命権者である尹錫悦大統領によって任期途中でも他の部署に異動させることは可能だ。国会多数派の野党や世論の動向を見極めて尹大統領が決断するかもしれない。

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