【インタビューfocus】中国の台湾侵攻許さぬ対応を 前米国務長官 マイク・ポンペオ氏(下)

インタビューに応じる米国のマイク・ポンペオ前国務長官
インタビューに応じる米国のマイク・ポンペオ前国務長官

前米国務長官 マイク・ポンペオ氏に聞く(下)

――4月にウクライナを訪問しゼレンスキー大統領と会談しているが、ウクライナ戦争が終わる見込みについてどう思うか。

ゼレンスキー大統領とは4年以上会っていなかった。今回の訪問では、ゼレンスキー大統領を励ましたかった。それと同時に、ロシアによる主権国家ウクライナへの侵略という悪行に抵抗し、ロシア軍を押し返したことに対して、ゼレンスキー大統領とウクライナ国民に感謝の意を表したかった。

訪問には経済人とキリスト教系人道支援団体が同行した。ウクライナをより良い場所にし、再建に役立つことを期待しているが、それぞれの立場から役割を果たす用意ができている。 戦争を終わらせるには、交渉で解決を見いだすことが前提条件にある。

――バイデン米政権のウクライナへの対応をどう評価するか。

2021年9月の時点でバイデン政権はロシアがウクライナを侵略する可能性について情報を持っていながらも、ウクライナに兵器を支援しなかった。その時に支援すべきだった。

ウクライナが、奪われた土地からロシアを追い出せることを願っている。ゼレンスキー大統領は米国から兵員の協力を求めておらず、武器弾薬など必要なリソースだけを求めている。 西側諸国や日本は、戦闘に必要なリソースを提供し続けることだ。

ウクライナの人々は、危険をいとわず自分の命を犠牲にする覚悟をしている。これまでに何千人もの国民が殺害されても、ウクライナ国民は臆することがない。勇敢なウクライナ国民を助けなければならない。プーチン露大統領は、人間の尊厳と国家主権の基本的な考えを信じるわれわれにとって非常に厄介な存在だ。

――ウクライナ戦争が台湾海峡に与える影響をどう思うか。中国が台湾に侵攻する可能性についてどう考えるか。

いろいろな表現の仕方はあると思うが、中国の習近平国家主席は「台湾が中国の一部である」と表明している。これは、再統一するつもりだと理解できる。押さえておきたいことは、台湾は決して中国に統一されず、台湾は決して中国の一部ではなかったということだ。

紛争が起こるかどうかは、米国が中国共産党にどのように反応するかに懸かっている。習主席をなだめようとしたり、突き放そうとしたりすれば、紛争が起こる可能性がある。

日本やオーストラリアなど自由主義の国が、台湾に武器システムの提供やインテリジェンス共有、経済などでの協力を強化すれば、習主席は軍事侵攻をためらうだろう。

もう一つ課題がある。習主席が軍事侵攻によらずに目標を達成することを許さないことだ。習主席が香港でしてきたことを見たが、自由、財産権、法の支配を、武器を使わずに破壊した。台湾で同じことを許してはいけない。北東アジア地域の状況を変えたのは米国ではなく習主席だ。毅然(きぜん)とした方法で対応する必要がある。

台湾の地位をあいまいにしたままにするという考えが台湾の利益になると世界の大半の国々は考えてきたが、これが失敗であることはウクライナ情勢から見ても分かる。台湾ではウクライナで起きているような侵攻を許すわけにはいかない。

(聞き手=ソウル・豊田 剛)

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