トップオピニオンインタビューNATOのアジア拡大を 台湾有事へ米国介入は明確 元国務省中国政策首席顧問 マイルズ・ユー氏

NATOのアジア拡大を 台湾有事へ米国介入は明確 元国務省中国政策首席顧問 マイルズ・ユー氏

中国経済崩壊でデモ再発も

――昨年11月下旬に中国各地で起きた白紙デモを動機付けたものは何だったのか。

新型コロナウイルスによるロックダウン(都市閉鎖)は、抗議のきっかけであって、原因ではない。抗議者たちが都市封鎖の停止だけでなく、自由や民主主義、憲法による統治、共産党の退陣などを主張したことからもそれが分かる。また、習氏が第20回共産党大会で任期を延長したタイミングであったことを考えても、政治的な抗議だ。

非常に重要なことは、以前のデモは出稼ぎ労働者など社会の下層部にいる人々によるものだったが、今回は中産階級の人々が主導していたことだ。中国社会のあらゆる層が習氏の政策に憤慨していたことが分かる。

――習氏がゼロコロナ政策に強くこだわってきたのはなぜか。

習氏は筋金入りの共産主義の信奉者だ。最高指導者になった瞬間から、中国共産党が全能であり、党が支配する社会主義独裁が、西洋の民主主義よりも優れていることを証明しようとしてきた。だから、パンデミックの初めからこれを公衆衛生上の危機として見ておらず、政治的なテストとして捉えているのだ。だから彼は決して失敗だと認めることはできない。

――近い将来、再び大規模な抗議デモが起きるか。

間違いなく起きると思う。きっかけさえあれば、いつでも再発するだろう。

引き金となる可能性が最も高いのは、経済が完全に崩壊することだ。すでに多くの企業が閉業し、外国企業が撤退したため、膨大な数の失業者がいる。また、医療などの公共サービスシステムの崩壊や警察による市民への残忍な行為も考えられる。

――あなたは中国で文化大革命を経験しているが、そのことは中国共産党に対する見方にどう影響したか。

中国共産党は、国民を代表していないというものだ。またある意味で反中国的である。その思想は、西洋の急進的な全体主義であって、中国の伝統的な価値観とは相いれないからだ。

さらに、中国共産党は権力の独占に強く執着している。党の権力が揺るがないよう保つことが、彼らの知る唯一の統治方法だ。

――新型コロナが中国の武漢ウイルス研究所(WIV)から発生した可能性についてどう思うか。

WIVが起源だと思っている。なぜなら、新型コロナは、中国の洞窟で進化した場合にはあり得ない特徴を持つからだ。しかし、中国政府がWIVへの国際的な調査を許可しなければ、決定的な証拠を得ることはできない。それでも、世界保健機関(WHO)を含む他の国々はWIVから発生したものであると考えるようになってきている。今では、自然界が起源だと信じている一流の科学者はほとんどいない。

――WIVでは、ウイルスの毒性や感染力を高める機能獲得研究が行われてきたとされるが、生物兵器研究との関係はあるのか。

それは生物兵器研究の一環だ。中国政府は生物兵器の研究を行っていることを認めている。機能獲得研究は、平和目的でも軍事目的でもできるが、倫理的な問題があり、非常に危険だ。中国のバイオセーフティー基準やその適用が非常に緩いことを考えると、こうした研究を行う機会を与えられるべきではなかった。

――米国立アレルギー感染症研究所のファウチ前所長(昨年末に退任)がWIVに資金提供していたことについてどう思うか。

彼は間違っていた。その上、利益相反を抱えていた。機能獲得研究に多くの資金を提供する権限を握っていた人物だったからだ。また、彼は議会で嘘(うそ)をついた。中国の機能獲得研究に資金提供していないと述べたが、実際には行っていた。

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