【宗教と政治】日本宗教界の危機 公明党は国のため役割果たせ 杉原誠四郎氏

元武蔵野女子大学教授 杉原誠四郎氏に聞く

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる政界の動きについて、日本で政教分離は正しく理解されていないと指摘する元武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎氏に宗教と政治の観点から語ってもらった。(聞き手=政治部長・武田滋樹)

すぎはら・せいしろう 1941年広島県生まれ。67年東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。城西大学教授、元武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)教授を歴任。  著書に『日本の神道・仏教と政教分離―そして宗教教育』( 文化書房博文社、92年)、『新教育基本法の意義と本質』(自由社、2011年)、『理想の政教分離規定と憲法改正』(同、15年)など。共著に『対談・吉田茂という反省』(同、18年)、『吉田茂という病』(同、21年)など。

――自民党と家庭連合やその関連団体との「接点」探しは、地方の首長や議員にまで拡大している。

信教の自由を定める憲法の下で、宗教団体が自分たちの掲げる理想を実現するため、政治家と接触するのは当然のことであり全く問題ない。それは宗教団体にとって、基本的人権ならぬ“基本的集団権”だと言える。また、政治家も政策作成のために宗教団体に接触しても何ら問題はない。それが問題なら創価学会と公明党は憲法違反を犯していることになる。

もちろん教団と接触した議員が霊感商法等の問題を助長するような行動を取っていたり、旧統一教会が本当に解散命令を出さざるを得ないほど不法行為を重ねていたりすれば話は別だ。そのような疑惑や主張は、旧統一教会に敵対的な弁護士団体や共産党など一部野党から出されてはいるが、厳密にはいまだ公的に断定されているわけではない。

――公明党は自民党と教団等との接触の問題について、「政治と宗教一般の問題でなく、社会的に問題を指摘されている団体と政治との関わりだ」として傍観する姿勢を取ってきた。

日本のような民主主義国家では、個人であれ団体であれ、その基本権に重大な制限が加えられるのは、慎重かつ公正な手続きを経て刑罰が確定された時に限られる。それが大原則だ。

世論が一方的に傾く状況であればあるほど、信教の自由はどういうものかを国会の中できちんと主張するべきだ。宗教の弾圧になるような、解散ありきの審議はおかしいと。今のところ公明党は自分のところに火の粉がかからないようにするのが中心課題となっているが、審議がこのままで先に進めば大変な状況になる危険性がある。

――既に政府は宗教法人法に基づく解散命令の要件に「民法の不法行為も入り得る」と解釈変更を行った。

旧統一教会の被害者救済法案の協議では、野党側が定義も不確かなマインドコントロールを盛り込むことや献金の上限規制、本人以外の献金取り消しを要求しており、政府・与党の対応次第では、他の宗教法人にも重大な影響が及びかねない状況だ。

創価学会も高額献金(財務)や宗教二世の深刻な問題を抱えている。新興宗教だけでなく、伝統的な仏教や神道も含め他の宗教団体も大同小異だろう。より大きな目で見れば、政府が政治的な思惑で宗教団体への統制を強めているわけで、憲法が保障する信教の自由との関係でより慎重な論議が必要だ。

――信教の自由が重大な危機を迎えているということか。

日本の宗教界の危機であり、国家の在り方に関わる問題だ。公明党の支援団体である創価学会は日蓮宗を起源としている。日蓮宗というのは国家護持の精神を抜いたら日蓮宗でなくなる。

私は平成の天皇即位の際に大嘗祭に関し、公明党の衆議院議員鍛冶清氏(故人)の仲介で内閣法制局に意見具申したことがある。当時の内閣官房副長官、石原信雄氏もじっと聞いておられた。大嘗祭は宗教行事ではあるが、天皇家の伝統の祭祀(さいし)の行事であるので伝統通りに行うべきだと述べたが、公明党の議員がそんな意見を政府につないでくれたのは、国を思ってのことだと感謝している。

公明党は押しも押されもせぬ日本を代表する宗教政党だ。今こそ日本の信教の自由を守るために役割を果たすべきだ。

公明党全国大会で手を取り合う山口那津男代表(中央)、斉藤鉄夫新幹事長(同右)ら =30日午後、東京都内のホテル
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