将来は香港・台湾も標的に
――これまでに臓器狩りはどのくらい行われたのか。
われわれは個々の病院のウェブサイトや出版物、メディアの報道、病床数などを調べ、病院ごとに移植件数を推計した。その結果、年によって異なるが、年間6万~10万件の移植が行われていることが分かった。6万件から10万件へと次第に増えているのが実情だ。
一人の囚人から心臓、肺、肝臓、腎臓、角膜と複数の臓器を摘出できるが、すべて使うことができるわけではない。このため、10万個の臓器は約3万人から摘出されたというのがわれわれの見積もりだ。
移植件数は病院ごとの統計を足したものであり、単なる推測ではない。だが、移植された人数に関してはあくまで推測だ。
――中国では臓器移植が産業になっているとのことだが、その規模は。
われわれが調査を始めた当初は、臓器の価格表が仲介業者のウェブサイトなどに公開されていた。しかし、報告書でそれを引用するたびに消えていき、今はもう見つからない。だが、2006年の価格リストを基に、現在の移植件数やインフレ率で計算すると、おそらく100億㌦(約1兆5000億円)規模に上ると思われる。
――海外からの移植希望者はどの国が多いか。
われわれはさまざまな国に行き、中国の移植施設を訪れた人たちから話を聞いたが、日本、韓国、台湾が多い。台湾は禁止になったため、今は減った。中東やドイツも多い。米国やカナダはそれほど多くない。臓器移植に関するウェブサイトには、日本語や韓国語、アラビア語もある。
日本から中国で臓器移植を受けた人の数を日本政府に質問しても、分からないと言うだろう。だが、その数は集計できる。移植を受けた人は皆、免疫拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤が必要だからだ。台湾は海外での臓器移植を報告するシステムを構築したが、日本にはない。
――この問題に対する国際社会の反応は。
国連機関が懸念を表明したり、欧州議会が決議を採択したりするといった動きがある。だが、十分ではない。日本からは決議を採択するなどの動きは何もないようだ。
――国際心肺移植学会が今年、中国から臓器移植に関する研究論文は受け付けないと発表したが。
海外から影響を与えることができるのは政府だけではない。研究・教育機関もそうだ。中国の専門家たちは国際的な評価を気にしている。国際的な研究機関や学術誌はこの問題を見て見ぬふりをするのではなく、協力関係を利用して問題提起することが重要だ。同学会が行ったことは良い例であり、他の組織や学術誌も追随すべきだ。
――法輪功学習者、ウイグル人の次に臓器狩りの標的になる可能性があるのは。
人権侵害はウイルスのように拡散する。止めない限り、ウイルスは次から次へと人々を汚染する。現在の中国の医療システムは資金を維持するために、新たな臓器摘出のターゲット集団が必要となるだろう。
次の大量虐殺のターゲットになる可能性が最も高いのは、すでに狙われているチベット人と地下教会のキリスト教徒だ。さらに、南モンゴル人や香港人のほか、中国が台湾を侵略・占領した場合は台湾人も標的になる可能性がある。特に台湾には法輪功学習者が数十万人いる。