――教育への影響は。
LGBT運動の本質は、人の意識を変えることにある。そのためには、「偏見と差別意識」に〝汚れた〟大人の影響を受けてからでは手遅れになるから、その前にLGBT運動の価値観を教えることが効果的だと考えているのが活動家たちだ。必然、その価値観を植え付ける性教育は、低年齢からスタートさせるべきだという発想になる。そんな偏向教育を受けると、LGBTでないにもかかわらず、「自分は性的少数者だ」と思い込む子供が増えて、社会は悪循環に陥ることになる。
小さい時から、性の多様性を教えれば、寛容な社会になるというのは幻想だ。多様性や人権の前に、教えることがある。「生命の尊厳」だ。人の生命を大切にする結果として、人権を大切にし、多様性を認める寛容な社会になるという視点で、パラダイムシフトさせることが必要なのだ。
現在のLGBT教育は教える順序が逆になってしまっている。自分や他者の性を大切にしない人間では生命の尊厳についての感性が育たない。生命を慈しむ心を育てるのが家庭であり、学校だ。多様性や人権という美名によって、その心を育てる基盤となる家庭の価値を貶(おとし)める方向に引っ張っているのが、現在のLGBT運動であり教育だ。

――森田さんが考えるLGBT問題とは。
「LGBTとは」「男性とは、女性とは」を考えていくと、「人間とは何か」あるいは「家庭とか何か」「社会はどうあるべきか」など、さまざまな問題に広がり、しかも熟考が必要だ。
もちろん、一筋縄ではいかないテーマだが、そこから逃げてはいけない。この難しいLGBTの問題に、どんな対応策を見いだすのか。それが社会の成熟度と日本のこれからの行方を占う試金石だとみている。
―― LGBT問題で日本が担う役割。
自由主義国家と権威主義・全体主義(共産主義)国家の対立がLGBT問題にも影を落としている。中国やロシアなどは欧米の性の乱れを見て、民主主義国家をあざ笑い、自分たちの思想と国家体制に優越感を持ち自信を深めている。
だから、LGBT問題に対する日本の対応は、欧米諸国に見られるように、性の乱れを助長する方向ではなく、世界の模範となるような方策を確立する必要がある。そのためには、一夫一婦の婚姻制度を堅持して、まず家庭の中で夫婦、親子、兄弟一人ひとりが性のモラルを確立するとともに、それを社会にも拡大し、生命の尊厳に対し豊かな感性を持った人間を増やす。そうしてこそ初めて人権を大切し多様性を認める社会が実現すると考えている。
家族についての伝統的な形態や性モラルが当事者を抑圧し、差別を生んでいると主張する人たちが存在するが、まったく逆なのである。
編集後記
本書を読んで、「結婚って何だろう?」と考えさせられた。これまで、自分の育った家族や家庭を単にイメージしていたが、その根本が私の中で揺らいだ。LGBT問題について勉強した今こそ、家庭に対しての明確な価値観を持つようになった。日本の若者たちがこの問題と向き合うとき、私がそうだったように、価値観が揺らいでしまうだろうし、感情で流されて安易に答えを出してしまわないようにしなければならない。(聞き手-竹澤安李紗)

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