米は「台湾防衛」明確化を ハリス前駐韓米大使 本紙インタビュー

安倍氏 同盟強化で功績

日系人として初めて米太平洋艦隊司令官、太平洋軍司令官を歴任し、トランプ前政権では駐韓大使を務めたハリー・ハリス氏がこのほど、世界日報のインタビューに応じた。ハリス氏は緊迫化する台湾海峡情勢について、米国は台湾防衛を明言しない「戦略的曖昧さ」を放棄し、軍事介入の意図をはっきり示す「戦略的明確さ」に転換すべきだと主張した。また、安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想が米国の戦略にも取り入れられたことで、「日米両国はインド太平洋地域における機会、挑戦、脅威を同じ形で捉えている」と指摘し、日米の共通基盤を構築した安倍氏の功績を称(たた)えた。(編集委員・早川俊行)

 Harry B.Harris Jr. 1956年、神奈川県横須賀市で米海軍兵の父親と日本人の母親の間に生まれる。78年に海軍兵学校卒業。2013年に太平洋艦隊司令官に就任し、アジア系(日系)では米海軍史上初の大将に。15年に太平洋軍司令官。18~21年まで駐韓大使を務めた。

歴代米政権は「戦略的曖昧さ」を維持してきたが、ハリス氏は「中国は台湾に対する意図を極めて明確に示している。われわれも中国が台湾を侵攻した場合にどうするかについて、同じように明確にしておく必要がある」と主張。安倍氏が米国に戦略的曖昧さの見直しを求めていたことについて、「安倍氏は南シナ海、東シナ海、朝鮮半島、そして地域全体の安定に関して、台湾の重要性を理解していた。安倍氏の分析は完全に正しかった」と高く評価した。

中国が実際に台湾侵攻に踏み切る時期についてはさまざまな見方があるが、ハリス氏は「中国は今、経済問題や新型コロナウイルス問題など多くの課題を抱えている。従って、中国が年内に台湾に対して動くとは思えない」と指摘。一方で、昨年3月にフィリップ・デービッドソン・インド太平洋軍司令官(当時)が「6年以内」と語ったことを挙げ、「デービッドソン氏の発言を真剣に受け止めるべきであり、彼の警告を無視するのは愚かなことだ」と、台湾有事は2027年までに起こり得るとの認識を明らかにした。

ハリス氏は、バイデン米政権が2月に公表したインド太平洋戦略には「安倍氏の戦略を反映した要素が多く含まれている」と述べ、安倍氏の「自由で開かれたインド太平洋」構想は、今なお米国の政策に大きな影響を与えていると指摘。安倍氏の構想により、日米に共通基盤が形成されたとの見方を示した。

ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、中国が威嚇的な軍事演習を行っていることについては、「中国が台湾と米国を脅迫してきただけに、ペロシ氏が台湾訪問を実行することが絶対に必要だった」と述べ、中国に誤ったメッセージを送らないためにも、ペロシ氏が訪台をやり遂げたことを高く評価した。

日本の防衛費を国内総生産(GDP)比2%に引き上げることを求める意見が出ているが、「日本が自国を守るために防衛費を増やすことは正しいことだ」と支持を表明した。

ハリス氏は韓国ソウルで開催された国際会議に出席した際、本紙のインタビューに応じた。

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