トップオピニオンインタビュー「現代の奴隷農場」に囚われる米国の黒人社会

「現代の奴隷農場」に囚われる米国の黒人社会

「民主党からの独立」訴える女性活動家に学ぶ自助論 ジャーナリスト・我那覇真子氏に聞く

崩壊した黒人家庭、7割が父親不在

――黒人社会が貧困や経済格差に苦しむ要因について、本書は父親が家にいないことだとはっきり言っています。

私も本書を読んで驚いたのですが、黒人家庭の7割で父親がいないそうです。奴隷制の時代に家族が引き離される悲惨な歴史を経験し、家族の大切さを誰よりも分かっているはずの黒人家庭がこうなっているのは、意図的な結果だというのです。

例えば、米国では中絶問題が大きな話題になっていますが、中絶手術をする施設が意図的に黒人コミュニティーの近くにつくられているのです。BLM運動によって黒人が白人警官に殺されているというプロパガンダが広がっていますが、実は黒人にとって最も危ないのは母親のお腹の中なのです。優生学的思想を持つ人たちが、意図的にこうしたキャンペーンを展開してきました。

民主党は黒人をコントロールするために、黒人コミュニティーを弱体化させる必要がありました。そのためにはまず、黒人家庭をバラバラにする、父親不在の家庭を増やす必要があったのです。黒人家庭を福祉漬けにし、母親は子供の父親と結婚するよりも、シングルマザーとして政府から補助金をもらったほうが得だという仕組みを作り上げました。つまり、黒人の母親を旦那さんではなく、政府と結婚させるようにしたのです。

かわいそうな家庭を助けるという美辞麗句の下で、黒人家庭に対する攻撃が行われてきました。キャンディスさんは、黒人社会の回復に必要なのは、何より家庭に父親がいることだと訴えています。これは日本社会にも当てはまることです。

キャンディス・オーウェンズ氏(右)にインタビューした我那覇真子氏(撮影:マイケル・ヨン)

――黒人に被害者意識を植え付け、国民を分断する手法はマルクス主義そのものです。本書は「黒人が今日主張する抑圧の考え方は、共産主義からきたものだ」と断言しています。黒人社会が直面する困難や米国社会の分断は、突き詰めるとマルクス主義、共産主義に行き着くということでしょうか。

全くその通りだと思います。メディアの支援によって大きな存在になったBLM運動は、共産主義を勉強したと公言する筋金入りの人たちがリーダーになって社会を分断しています。

BLM運動もそうですが、差別を受けていない黒人が、差別をしていない白人に対して、償わなくていい罪を償わせようとする構図をつくりだしています。全く関係ない人たちが過去の歴史を利用してお金の流れをつくり、社会の分断を図っているのです。

キャンディスさんは私のインタビューでも話していたのですが、家族の否定やLGBT(性的少数者)イデオロギーの推進、気候変動対策など、突き詰めると、すべてが家庭の分断につながるというのです。家庭が崩壊すれば、支配したい人たちが国民を洗脳しやすくなり、共産主義国家に近づいていくことになるからです。

気候変動対策がなぜ家庭の分断につながるのかと疑問に思ったのですが、キャンディスさんによると、環境活動家たちは人口が多すぎることが気候変動を引き起こしていると主張し、子供たちに子供を持たないよう思想教育をしているというのです。

――本書は、左翼の圧力によって米国社会からキリスト教の伝統が失われていることを嘆いています。左翼勢力が米国から信仰を排除しようとする狙いは何でしょうか。

人間が生きていく原動力は、やはり信仰だと思います。敬虔なクリスチャンであるキャンディスさんの強さもそこから来ています。

米国民をターゲットにして攻撃している勢力は、米国を骨抜きにしなければならないと考えています。だからこそ、国民から信仰心を奪おうとしているのです。国民の信仰の対象を神ではなく、政府に変えようとしている。これは本当に恐ろしいことです。われわれ日本人も政府を信仰していないかと、われに返らせられます。

だからこそ、米国で今、立ち上がったのは、クリスチャンが多い。トランプ大統領の集会に行って驚いたのですが、集会は数万人の参加者が一緒に祈ることから始まりました。これを見て、宗教の力は本当にすごいと思いました。

日本人は無神論者と言う人もいますが、私は決してそうは思いません。私はクリスチャンではありませんが、日本人的な宗教観に基づき、信仰は大切であり、日本のバックボーンだと思っています。

――黒人有権者の5~10%でも民主党の奴隷農場から抜け出るだけでも、米国の政治バランスは劇的に変わります。

その通りです。だからこそ、キャンディスさんは共和党の副大統領候補として名前が挙がることもあります。黒人の有権者が少しでも目覚めれば、米国の運命も変わります。さらに日本の運命まで変わると、私は思っています。

私はキャンディスさんとのインタビューで、思わず日本も救ってほしいと言いました。これは何も日本の命運を彼女に丸投げするという意味ではありません。米国が世界に与える影響を考えれば、米国の保守派、とりわけその中心になっているキャンディスさんに頑張ってもらえれば、日本も自立できるようになると思うのです。

キャンディスさんたちは、米国の主権を本当に意味で取り戻そうとしている。日本も「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(WGIP)などによって自立できなくなりました。米国が本来の米国に戻ることができれば、日本も本来の日本になれるチャンスが来ると思うのです。

――黒人の民主党離れは今後、広がっていくでしょうか。

米国では、政治家よりも先に国民が目覚めています。国民の反映が政治家ですから、目覚めた国民の声を吸い上げるリーダーがさらに増えていくと思います。そうした勢力が今後減ることはまずなく、どれだけ増えていくか、どれだけスピードが速いか、という流れだと思います。

取材したトランプ氏の集会には、「私は民主党員だけど、トランプ氏を支持する」という人がいました。この人は中絶に強く反対するクリスチャンで、人間の生命を大事にする政治をするのは誰か、そう言っていました。これらの有権者は政党の枠組みではなく、価値の枠組みで判断しており、こうした動きはどんどん広がっていると感じます。

日本にも求められる国民の「覚醒」

――本書は黒人社会に向けて書かれたものですが、邦訳版を通じて日本人に伝えたいメッセージは。

この本は黒人の歴史や米国社会について書かれたものですが、一国を破壊する手口は同じです。つまり、日本でも同じことが行われている。黒人が置かれている立場を自分たちに置き換えて、日本ではどうなっているかに気付いてほしいのです。

例えば、不必要にLGBT問題がイデオロギー化し、日本に押し寄せています。学校でも伝統を破壊するような教育が行われています。この本で語られていることは、程度は違うかもしれませんが、日本でも起きていることなのです。国家は同じ原理で成り立っていますから、同じ原理で壊せばいいというわけです。

本書にはキャンディスさんの体験談が多く書かれており、自助論の側面が非常に強い。日本人も物事を解決するには自助精神しかないことを、今一度気付かなければいけない。本書を現代の自助論として日本人に読んでほしいと思います。

――黒人は被害者意識を植え付けられてきましたが、これは沖縄問題にも通じるのでは。

私が本書に共感し、わが事のように読んだのは、沖縄県民である自分たちが置かれている立場が重なったからです。沖縄県民は米国の黒人のように、日本の分断工作に使われています。

沖縄は政府から多額の補助金やさまざまな優遇政策を受けています。私はこれまで、沖縄にお金が入ってくるのは発展のためだから疑問を抱くことではないと思っていました。しかし、沖縄はかわいそうという理由で補助金を与えることは、被害者意識を高めることにつながっています。従って、政府の補助金漬けは、沖縄にとって根本的には良くないものだと思います。

ブラックアウト – 方 丈 社 (hojosha.co.jp)

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