トリガー条項 国民目線で政治判断を-国民民主党 玉木雄一郎代表

国民民主党 玉木雄一郎代表に聞く

国民民主党が衆院で政府の新年度予算案に異例の賛成票を投じ、与野党に波紋が広がった。同党はまた、昨年秋の衆院選以降、衆院憲法審査会でも与党側の幹事懇談会に出席しており、参院選を控え、その動向に注目が集まっている。玉木雄一郎代表に真意を聞いた。(聞き手=武田滋樹、竹澤安李紗)

インタビューに応じる国民民主党の玉木雄一郎代表 =7日午後、東京千代田区
たまき・ゆういちろう
昭和44年、香川県生まれ。平成5年、東大法学部卒、大蔵省入省。米ハーバード大ケネディスクール修了。21年から衆院議員。民主党副幹事長、民進党幹事長代理、旧国民民主党代表など歴任。香川2区。当選5回。

衆院で政府の新年度予算案に賛成した理由は。

一言で言うと国民のためだ。世界と社会が新型コロナ禍とウクライナへのロシアの侵略で激変する中、日本の政治のあり方、特に野党のあり方が問われている。慣例的に同じことをやっているだけでは、今の大きな変化、そして国民のニーズに応えられない。

2月の党大会で、政策本位で協力できる政党とは与野党を問わず連携していくことを党の方針として決めている。今回は岸田総理からトリガー条項の凍結解除を検討するとの明言があり、実現に向けた方向性が示されたため、賛成に回った。賛成した以上はきちんとやってもらうために国会でも厳しく追及し、かつ具体的な見直し案を示している。

よく(野党として)異例だと言われるが、野党だから反対という慣例的なやり方自体が思考停止に陥っていて問題だった。今、国民にとって何がベストなのかということで判断したのが今回の結論だ。

トリガー条項の凍結解除には立憲民主からも賛成の声が出ている。

われわれは去年の衆議院選挙の公約として掲げた唯一の政党だ。コロナ初期の10万円一律給付もわれわれが最初に言って、実現につなげてきた。その意味では、必要な政策を国民本位で選定し打ち出してきた。他の政党が追随していただくのはありがたいが、言い出しっぺとしてぜひ実現したい。

政府は石油元売り各社への補助金(上限)を5円から25円まで拡充することにしたが、それでも足りない。ガソリン価格は昨年1月1㍑当たり136円だったが、この前訪問した鹿児島では180円を超えていた。40~50円も上がったわけだから、25円の補助をして、25円の減税をしてやっと1年余りの上昇を補えるぐらいだ。トリガーと元売り補助の両方やらないといけない。

地方税収の落ち込みなどの懸念もある。

そういう役所目線に立つのか、国民目線に立つのかの違いだ。「煙立つ民のかまどは賑ひにけり」という、仁徳天皇の言葉を今こそ為政者は思い起こすべきだ。

トリガー条項凍結を解除するとだいたい1年間、家計負担は7000億円、企業負担は8000億円も軽くなる。税金を取る側からしたらそんなに減ったらと思うかもしれないが、取られる側からしたらそれだけ家計負担と企業負担が軽くなる。役所の言うことを聞いて「できない」という、役人の延長みたいなことをするなら政治家はいらない。国民目線で政治判断をできるのは政治家の仕事だ。ここで決断しないで、一体いつするのか。

凍結解除を実現する見通しは。

少なくとも与党の2人の代表を引っ張り出して直接交渉をして、9日から幹事長クラスの協議が始まる。一歩、一歩だが、言いっ放しではなく、やはり政策実現にこだわりたい。

他の野党から「もはや与党だ」などの批判も出ている。

他の野党から見たら、既存のやり方を乱しているということかもしれないが、われわれは永田町のルールのために行動しているのではなく、国民のために何をするかということを考えてやっている。これだけ未曽有の危機の時には、与党野党関係なく、原点に返って、国民のために、何が国民にとってベストなのかで判断して、行動していくことが一番必要だ。

緊急事態条項から議論を

国民民主は衆院憲法審査会でも、与党側の運営協議に参加している。

与党側に入ったのでなく、野党からはじかれた。立憲民主党から、自民党の方に入ってくれと言われ、仕方がなかった。与党にすり寄ったわけではない。

われわれは自民党の改憲4項目も賛成ではない。ただ、税金から歳費をいただいているからには、開催そのものが争点になるようなことはやめて、定例日の毎週木曜日にはきちんと開いて、憲法や手続き法である国民投票法についてしっかり議論しようと提案した。

今回、衆院憲法審査会で、われわれ国民民主党が主導して、オンライン国会の実現ための憲法56条(出席)の解釈の確定という、一つの成果物を出すことができた。今までは言いっぱなしの講談会みたいな審査会だったが、一つの解釈を確定して、それを具体的な制度変更へつなげていけたのは、画期的なことだ。

今後、憲法審査会で最も議論すべき課題は何か。

緊急事態条項だ。新型コロナのような感染症やウクライナのように外国からの武力攻撃があった時でも、国会の機能をきちんと維持できるかどうかが問われている。

具体的には、国会議員の任期満了(衆院4年、参院6年)のタイミングで、非常に致死率が高い感染症が拡大していたり、大規模災害が起こったり、海外からの武力攻撃、あるいは内乱とかテロが起こって正常な選挙できない。そういう時には、国会議員の任期を特例的に延長する規定を設け、立法府の機能が停止することを避けるようにすることが必要だと痛感した。

東日本大震災の時、県会議員選挙は法律を通して実際に延期した。ただ、国会議員の任期だけは憲法に書いている。それを特例的に延ばそうと思ったら憲法改正が必要になる。

緊急事態条項はナチスドイツのように悪用される恐れがあるとの声もある。

逆だ。緊急事態条項が危ないのではなくて、まともな緊急事態条項がなく、立法府の機能が停止して、行政に対する国会の監視機能が働かなくなって行政が暴走してしまう、その方が問題だ。どんな状態でも行政、司法、立法の3権がきちんと機能するルール作りを平時からしておくことが重要だ。

参院選、野党候補の一本化にどんな姿勢で臨むか。

比例票もあるので、できるだけ多くの候補者を複数区に立てて勢力を拡大したい。1人区の調整は基本的に野党第一党がどう考えるかだ。われわれの判断は政策が一致しているかしていないか。非常にシンプルだ。

都民ファーストとは政策の一致ができたので、都民ファーストが立てる候補を一体となって応援しようということで今、調整中だ。

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