「オール沖縄」、辺野古移設反対で自己矛盾

元参院議員 喜納昌吉氏に聞く

沖縄の「選挙イヤー」の序盤戦となる名護と南城の両市長選で自民党推薦候補が当選した。玉城デニー知事を支援する「オール沖縄」の凋落(ちょうらく)ぶりが目立っている。元参院議員で民主党沖縄県連代表を務めたミュージシャンの喜納昌吉氏に、「オール沖縄」が抱える問題や現在の沖縄の政治情勢について聞いた。(聞き手=豊田剛)

名護・南城での敗北は当然、問題の根本見失った反対運動

名護市長選と南城市長選でオール沖縄が負けた。

「オール沖縄」、辺野古移設反対で自己矛盾
元参院議員 喜納昌吉氏(豊田剛撮影)

名護市の辺野古は、普天間飛行場の移設先として世界的にクローズアップされている。南城市には、琉球開闢(かいびゃく)伝説の聖地、世界遺産の斎場御嶽がある。どちらも沖縄を象徴する市だ。この両方で負けたが、私は保守系政治家ではないが、負けてよかったと思っている。

「オール沖縄」は沖縄県民のアイデンティティーを唱えて出てきた勢力だ。今のオール沖縄に今回の選挙を総括するだけの能力があるのかは疑問だ。南城市は元民主党国会議員の瑞慶覧長敏市長で負けたが、彼は国会議員になってから一度も僕に相談しに来なかった。

辺野古移設の反対運動の現状をどう見るか。

辺野古移設の問題の原点は、1995年に起きた米兵少女暴行事件。それがきっかけに沖縄の米軍整理縮小が行われるようになったが、いつの間にか新基地建設反対の運動が主体になっている。そこに、60年・70年安保で敗北した人々が本土から流れてきて、行政、マスコミに潜り込んで、お金がなかった連中が急に食べられるようになった。

辺野古移設の反対運動には矛盾が多い。行政は反対の理由を辺野古沖の軟弱地盤だとしている。ということは、移設そのものを認めていることになる。
その前も、サンゴやジュゴンなどの環境問題にすり替えているが詭弁(きべん)でしかない。環境を破壊する埋め立てに反対すると言っているが、那覇空港の第2滑走路も沖縄市の泡瀬も大規模な埋め立てだ。なぜそれらに反対しないのか。

姑息な方法論に陥っていて、問題の根本を見失っている。今ではアイデンティティーとは全く離れた貧困な運動になっている。マスコミも批判しない。アメリカや自衛隊に対しては猛烈に非難するのに、オール沖縄のおかしさはスルーする。今は、沈みそうな船からネズミが逃げようとしているという表現がピッタリだ。

首里城火災と類似、予算のため反対する翁長前知事と決別

喜納さんは首里城火災における沖縄県の対応も問題視している。

首里城火災と辺野古の問題は同根だと思っている。辺野古移設反対で「辺野古基金」をつくって世界各国から寄付を募ったところ、7億円以上が集まった。使い道はどうなったのか。ガラス張りではない。後始末をしていない。権利を主張しているのだから、義務を果たさないといけない。

首里城火災でも県はすぐに寄付を募った。これも、本来は第三者がしっかり会計報告すべきだ。しかも、火災の原因は不明で責任者も不在のまま、ないがしろにされている。

これを許している背景に沖縄県と内閣府沖縄総合事務局の二重行政がある。県庁、総合事務局、防衛局、財団法人など、いろんな所から下りてくる予算があるから、こうした問題を追及すれば狭い沖縄で暮らしにくくなる。だから誰も批判しない。マスコミにも文化人にも政治家にもこれを問う能力がない。

「オール沖縄」の流れをつくった翁長雄志元知事の評価は。

翁長氏は2014年の知事選に出馬するにあたって、僕と僕に近い議員らと一緒に面会した。その時「辺野古移設で何も言わないよりも反対するほうが予算が多く取れる」と話していた.この人の中にはもう基地は作られていると実感した。だからこの人と一緒にはやれないと確信した。

米中による力の二極化により、東アジアは緊張状態にある。

アメリカも中国もサイバーや宇宙の作戦に重きを置き、直接戦わないやり方をしている。人類はこれまで退屈な平和よりも燃える戦争を選択してきた。であれば、それよりも高い次元に昇華したルネサンスが必要だ。

今は新型コロナウイルスという疫病と闘っている。アフターコロナのビジョンを人類が示さないといけない。その中でも沖縄は重要な立場にある。


喜納昌吉(きな・しょうきち)氏のプロフィール

1948年生まれ。コザ市(現在の沖縄市)出身。ミュージシャン。68年にチャンプルーズを結成。77年、アルバム「喜納昌吉&チャンプルーズ」で全国デビュー。「ハイサイおじさん」や「花~すべての人の心に花を~」などのヒット曲を生んだ。2004年に参院選比例区に民主党から出馬し当選。民主党沖縄県総支部連合代表を務めた。14年には知事選に出馬するも落選。

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