ワクチン一辺倒では限界―大村智博士に聞く
新型コロナウイルスの感染拡大が進む中で、今こそイベルメクチンの治療薬としての効果に期待したいが、政府はなぜ承認に消極的なのか。
今も首相が、せいぜい旗を振ってワクチン接種を呼び掛けているところに、イベルメクチンの流れを作るのは実際的ではないと考えているからだろう。
為政者としていささか頼りない。
仮に、イベルメクチンを使っていいとされても、日本には十分入ってこないという問題もある。今、製造元のメルク社が日本への出荷を制限していて、疥癬(かいせん)以外に使わせるなということになっている。そのため、政府が承認したとしても、供給が十分にはされなくて事実上国民の間に行き渡らない。
供給面の不備はどう解決すればいいか。
イベルメクチンは既に特許が切れており、ジェネリックなら製造し使える。今やイベルメクチンは世界人類の薬で、メルク社独占の薬ではないから、誰が製造販売してもよいことになっている。インドで使用した例がそうで、ずっと以前から複数の企業で製造販売してきた実績があるので、現在、即、対応できている。ジェネリックで作っても、メルク社に特許料を払う必要がないからだ。
実際、インドのほかに幾つかの国でイベルメクチンを製造し、使っている。それ以外の国では今の段階で、製造する能力がないかもしれない。
治験が日本でもようやく始まった。治療薬としてイベルメクチンが承認され、供給はいつごろ始まると思うか。
われわれは興和(本社・名古屋市)が行っている治験に期待している。興和はメルク社のではなく、独自で別のところから輸入したイベルメクチンを用いて治験を一から行ってくれている。また、自社製造販売も検討していると聞く。ただし大急ぎで治験を行い申請したとしても承認は来年になるのではないか。
既にイベルメクチンを個人的に輸入し治療薬として使っている人も少なくないと聞く。
はっきり言いたいのは、とにかくワクチンは必要だということ。だからこそ、この流れを邪魔するようなイベルメクチンの推進では良くない。イベルメクチンは「治療薬なんだ」ということをはっきりと認識させなければならない。今、放っておけば、良いと分かっているから、みんな勝手に乱用してしまう。
これは国が良くない。今の段階で個人輸入して飲むのは仕方がないが、国が早く国民へのワクチン接種を進めて、治療薬は治療薬でこういうものがあり、使用できるとしなければいけない。そうすれば、個人的に輸入などしなくても医者に行けば処方してもらえるようになる。私のところに入ってきている情報だけでも、かなりの数の日本人が輸入している。これはあまり良いことではない。
イベルメクチンは自然からの贈り物だった、という話を以前されたことがあったが。
何とか良いものを見つけて、世の中の役に立ちたいという気持ちは小さいころから人一倍強かった。そういう気持ちに「サムシング・グレート」が働いたのだろう。人生にはいろいろ逆風もあるが、「必ず真実は勝つ」ことを私たちのグループの若い研究者たちにも言い聞かせている。