台風25号による大雨で、千葉県と神奈川県では計10人以上の死者・行方不明者が出た。地球温暖化の影響で自然災害が激甚化する中、身を守るには早めの避難が欠かせない。

大雨で土砂崩れ多発
死者の多くは自宅で土砂崩れに巻き込まれた。25号が関東南部に接近する前から雨量が増えていたため、地盤が緩んでいたことが土砂崩れの多発につながった。
25号の影響で、21日の雨量は千葉県木更津市で291・0㍉、神奈川県三浦市でも244・0㍉に達し、いずれも平年の9月の1カ月間雨量を大幅に上回った。記録的な雨量となったのは、海面水温が通常に比べ高く、台風に水蒸気が供給され続けたためだという。高気圧の張り出しで台風のスピードが遅くなったことも原因の一つだ。
千葉県の印旛沼では堤防2カ所が決壊し、成田市などに浸水被害が広がった。県が管理を始めて以来、決壊は初めてだ。
今年は台風が例年より多く、9月までに26個が確認されている。これは1994年以来、32年ぶりのことだ。日本列島南方の海上で、反時計回りの大きな大気の渦「モンスーンジャイア」が発生したことが一因だという。10月以降も台風シーズンが続くため、土砂崩れや冠水への警戒を要する。
全国では約72万カ所が土砂災害警戒区域に指定されている。裏手に崖や山がある場所に住んでいる人は、大雨の予報が出た時には早めに避難する必要がある。夜は避難が難しくなることもあるので、日中に安全な場所に移動することが望ましい。外に出られない場合は、自宅の2階や崖と反対側の部屋などに移ることが求められる。
千葉県では今年8月にも記録的な大雨で10人以上が亡くなった。この時は、排水施設で処理し切れず地上にあふれる内水氾濫によって道路に水がたまり、車で移動中に巻き込まれて溺死したケースが多い。大雨による浸水が予測される場合は、車での移動は控えるべきだ。
今回の大雨で気に掛かったのは、気象庁が発表する防災気象情報や自治体による避難指示への反応が鈍かったことだ。千葉県と神奈川県では広範囲にレベル4土砂災害危険警報が出されたが、実際に避難した人は少なかった。
気象庁と国土交通省は5月、河川の氾濫と大雨、土砂災害、高潮の4種類の防災気象情報について、災害ごとにバラバラだった名称を統一して分かりやすくした。だが、8月の千葉豪雨や今回の大雨でも死者が出ることを防げなかった。
5段階の警戒レベルについては、レベル5の段階で移動するのは危険であるため、レベル4で避難する必要がある。どうすれば住民を避難行動に結び付けることができるのか。情報発信の仕方に一層の工夫が求められよう。
減災への取り組み加速を
政府の防災・災害対応の司令塔となる防災庁が、11月2日に発足することが決まった。
今後の台風や地震などの大規模災害に備え、減災への取り組みを加速させてほしい。







