トップオピニオン社説消費減税大綱 財源確保に万全を尽くせ【社説】

消費減税大綱 財源確保に万全を尽くせ【社説】

 政府は食料品の消費税減税などに関する税制改正大綱を決定した。来年4月から2年間、税率を現行の8%から1%に引き下げ、残る1%相当分で中低所得の勤労者を対象とした給付制度を先行実施する。

 物価高で低迷が長引く消費を活性化させるものと大いに期待したい。政府は財源の確保に万全を尽くし、着実に実効性あるものとしてほしい。

小銭のイメージ

消費の回復に大きい期待

 政府は来月上旬にも召集される臨時国会に関連法案を提出し、成立を目指す。消費税減税が実現すれば、1989年の消費税導入以来初めてである。

 消費税は社会保障費の財源を安定的に確保するため、「世代や就労の状況に関わらず、広く国民の皆さまに負担をお願いするもの」(財務省)。現在、消費税の税収は社会保障4経費、すなわち年金、介護、医療、子供・子育て支援に充てることになっている。4経費の合計は2026年度当初予算で34・6兆円に上り、同年度の消費税税収(26・7兆円)だけでは賄えていない状況にある。

 それにもかかわらず、高市早苗政権が消費税減税を実施するのは、先の衆院選での選挙公約を実現し、国民との約束を果たすためということもあろう。しかし、それと同等かそれ以上に、「強い経済」をつくるために低迷する消費を活性化させる必要があるからで、他の財源から賄うのでなく、消費税の税率を引き下げることに意味がある。

 春闘では3年連続で高い賃上げ率を実現し、実質賃金が7カ月連続で前年比プラスとなってはいるが、消費の伸びは依然芳しくない。中東情勢に解決の糸口がいまだ見えず、原油・原材料価格の高騰による物価高が継続する中、国民が節約志向から抜け出せず、消費に力強さが出ないのである。

 2年間だが、食料品の8%から1%への減税はやはりインパクトがあり、想定以上の効果を見込めそうだ。1%相当分で中低所得勤労者対象の給付も行われる。2年後の29年度に税率は元に戻るが、同年度からは所得に連動した給付が本格化するため、消費の反動減も低く抑えられる可能性がある。

 問題は貴重な社会保障費の財源となる消費税収から、減税で失われる年約5兆円、2年間で約10兆円とみられる財源をどう確保するかである。政府は財政の持続可能性の観点から赤字国債の発行に頼らず、補助金や租税特別措置の見直しなどにより確保し、具体策は年末までに結論を得るとしている。

 財源を明確化できていないことに批判の声が少なくないが、外国為替資金特別会計の剰余金や独立行政法人などの納付金による税外収入だけでも約9兆円程度あり、さらに補助金や租税特別措置の見直しなども含めれば必要な財源は十分賄えるはずで、そう目くじらを立てることもあるまい。

政府は丁寧な情報発信を

 もちろん、政府はできるだけ早期に財源を確定する必要がある。市場の信認を損ない、過度な円安を招くことのないように丁寧な情報発信に努めてもらいたい。

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