トップオピニオン社説秋の交通安全運動 意識と仕組みで事故減らせ【社説】

秋の交通安全運動 意識と仕組みで事故減らせ【社説】

 秋の全国交通安全運動が始まった。交通事故の死者を一人でも減らすため、ルールや規範を再確認し、事故を防ぐ仕組みを検証する期間としたい。

運動の三つの重点項目

 運動の重点項目としては、歩行者の安全確保、自動車の飲酒運転・「ながらスマホ」根絶、自転車の交通ルール厳守の三つが挙げられている。

 一つ目の歩行者の安全に関しては、車や自転車の運転者が配慮する意識が大事だ。特に、危険を察知したり、事故を回避したりすることが難しい子供や高齢者の安全を守ることが重要である。

 このような「交通弱者」を守る上で、地域住民の利用が多い「生活道路」における自動車の法定速度が60キロから30キロに引き下げられたのは、事故の危険性や被害を抑えるために有効な対策ではないか。ドライバーへの周知徹底とともに「生活道路は人が優先」という規範を浸透させていきたい。

 一方、歩行者が死亡した事故の中で「横断歩道以外を渡る」「信号無視」など歩行者側の法令違反が6割近くあるという。交通事故から自分の身を守るために、歩行者自身も交通ルールを順守する必要がある。

 二つ目の重点項目である飲酒運転・ながらスマホの根絶は、事故を減らすために必須だ。これらは死亡事故につながる可能性が高い。

 根絶に向け、ドライバーへの啓発だけでなく、危険な運転を未然に防ぐ仕組みも必要だろう。国土交通省は、脇見や居眠りを検知して警報を鳴らす「ドライバーモニタリングシステム(DMS)」の搭載義務化の方針を決めた。さらに飲酒運転防止のため、運転者の呼気からアルコールを検知するとエンジンが始動しない「アルコール・インターロック装置」の搭載も検討していくべきだ。

 重点項目の三つ目の自転車は、加害者にも被害者にもなり得る交通手段である。事故に遭った時に、死亡・重傷(特に頭部損傷)を避けるためには、ヘルメットの着用が欠かせない。現在は努力義務とされているが、全ての自転車使用者に着用を促したい。

 半面、自転車と歩行者の衝突事故が増えてきている。自転車の交通反則通告制度(いわゆる「青切符」)が導入されたが、改めて交通ルールの順守を求めたい。併せて、国・自治体は自転車が安全に通行できる「自転車道」などの環境整備を進めていくべきだ。

事故死者数は過去最少

 近年、交通事故死者数は減少しており、2025年は2547人で過去最少となった。インフラ整備や技術向上、安全意識の高まりなどが、結果につながっていることを評価したい。

 今後は、自動運転などの技術発展や高齢化といった時代の変化に合わせて、交通事故対策も更新していく必要がある。運転者側が「ミスをする」可能性も前提に、交通ルール順守を徹底する機運を高めていきたい。同時に、道路を利用する全ての人が、安全に通行できる環境や仕組みを社会全体でつくっていかなければならない。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »