きょうは敬老の日。65歳以上の高齢者が人口の約3割を占める超高齢社会を迎え、どのように安定した豊かな老年を生きるかは、切実な国民的課題だ。

100歳以上が10万人超
厚生労働省によると、全国の100歳以上の高齢者は10万7677人で初めて10万人を超えた。昨年から7914人増え、56年連続で増加している。全体のうち女性が9万4298人で87・6%を占め、男性は1万3379人だった。
テレビなどで100歳を超えても現役で仕事に励む高齢者がしばしば登場するようになった。人生100年時代は、いよいよ現実となりつつある。
100歳以上の人の増加は、健康寿命の延びの一つの指標になり得る。上野賢一郎厚労相は「多くの方が長く元気に活躍されていることを喜ばしく思う。健康寿命が延び、社会の支えになってもらうという意味でも意義がある」と語った。
医療技術の進歩で、日本人の平均寿命は延び続けている。だが、われわれが安定した豊かな老年を生きる鍵が健康寿命の延びにあることは間違いない。それは社会全体にも大きな影響を及ぼす。
健康を失うと介護や医療で家族や社会に負担をかける。もちろん、そのために公的な保険制度があるので、世話になることを躊(ちゅう)躇(ちょ)する必要はないが、生活の質は低下せざるを得ない。
日本人の健康寿命は、厚労省の2022年の統計では男性72・57歳、女性75・45歳。世界保健機関(WHO)の発表では世界のトップクラスにあるが、平均寿命との差を縮めることが課題だ。
どれだけの高齢者が健康寿命を延ばしているかが、今後は日本社会の安定の指標になることも考えられる。少子高齢化がもたらすさまざまな社会問題の解決にも少なからず貢献するに違いない。
幸い高齢者の健康への関心は極めて高く、予防医学の知識が浸透するようになった。健康寿命の延伸は大いに期待できる。健康や体力が許す限り、仕事もできる。
人手不足の中で大きな戦力となる。社会の変化、労働環境の変化は目まぐるしいが、高齢者が長年培った経験を生かすことは、社会の健全な進歩のためには不可欠だ。
仕事を引退して趣味を楽しんだり孫の面倒を見たりするなど、悠々自適の生活ができる人はそれもいい。ただ、社会との何らかの接点を持ち続けることは重要だ。
人間は自己の生存本能だけで生きる動物ではない。自分が他者から何らかの形で必要とされているという意識が、生きる動機となり得るからだ。
社会参加が自分を支える
最近は若い人たちの行動と考えられてきた「推し活」が高齢者の間でも盛んになってきている。誰かを応援することは、他者のために何かしたいという本性の表れとも言える。
社会貢献という大げさなものでなくとも、常に接点を持ち、参加することが、社会を支え自分も支えていくことになるに違いない。







