トップオピニオン社説国際学力調査 格差の拡大が学びに影響【社説】

国際学力調査 格差の拡大が学びに影響【社説】

 国際経済協力開発機構(OECD)が91カ国・地域の15歳約76万人を対象に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果が公表された。

 日本は「読解力」4位(前回3位)、「科学的応用力」5位(同2位)、「数学的応用力」5位(同5位)で、世界のトップレベルを維持できた。

日本がOECD中1位

 国・地域別の平均点順位は、読解力が前回に続きシンガポール、数学的応用力と科学的応用力は中国の「北京・上海・江蘇・浙江」が1位だった。このほか、マカオや台湾などが上位に食い込んだ。

 OECD加盟38カ国の平均点が低下している中、日本はおおむね横ばい状態を維持しており、調査開始以降初めて3分野全てでOECD加盟国中1位となった。日本の平均点は、読解力503点(前回比13点減)、数学的応用力525点(同11点減)、科学的応用力538点(同9点減)だった。文部科学省は好成績を維持している要因について、1人1台端末などのデジタル環境整備や生活支援の充実などが実を結んだ結果だと分析している。

 PISA開始から間もない時期は日本の苦戦が続いたため、「ゆとり教育の弊害だ」との批判を招いた。そこから子供の「考える」授業の基礎には知識がなければ難しいと教育の流れが変わった。

 現在は基礎をしっかり押さえた上で、ICT(情報通信技術)機器や人工知能(AI)の活用で全体一律の授業から個別最適な学習形態に変わりつつある。次期学習指導要領もその方向性を打ち出している。

 ただ、今回の調査では3分野全てで日本の平均点が前回と比べて減少した。特に、読解力の減少幅は大きい。文科省は背景に、子供たちがSNSの短文をあまり注意せずに見ている影響や、読書時間の減少などがあるとみている。また、低得点層の増加も懸念される。基礎的な習熟度に達しない「レベル1以下」の子供の割合が増えている。

 OECD加盟国全体の読解力や数学的応用力の平均点が顕著に低下していることも気掛かりだ。日本に限らず、保護者の学歴や家庭の文化的、経済的資源などの指標が低いほど、習熟度の低い生徒の割合が高くなる傾向も表れた。

 さまざまな事情が子供の学ぶ意欲にも影響を与えており、格差は進学や就職にも及ぶ可能性がある。学校や行政などが連携し、解決しなければならない課題の一つである。次期学習指導要領では「子供を誰一人取り残すことなく、学びを保障することが重要だ」との理念が示されている。

教員の支えで好成績

 結果に一喜一憂せず、〝付け焼き刃〟ではなく、児童・生徒をよく観察し、最大限の工夫を凝らして指導していかなければならない。予測不可能な未来を生きる子供たちが、生涯にわたって学び続けられるように教育する必要がある。

 日本の好成績は、過労死レベルと言われるほど忙しい教員による支えの結果であることも忘れるべきではない。

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