トップオピニオン社説沖縄県知事選 経済振興推進を期待したい【社説】

沖縄県知事選 経済振興推進を期待したい【社説】

 沖縄県知事選で、保守系新人で前那覇市副市長の古(こ)謝(じゃ)玄太氏が過去最多の得票で初当選した。沖縄県民が求めた変化への期待の表れであり、新たな沖縄県政の船出を歓迎したい。

沖縄県知事選で当選確実の報を受け、取材に答える古謝玄太氏(手前左)。同右は妻の亜希子さん=13日、那覇市(時事)
沖縄県知事選で当選確実の報を受け、取材に答える古謝玄太氏(手前左)。同右は妻の亜希子さん=13日、那覇市(時事)

イデオロギー重視の革新

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する「民意」に後押しされ、2014年知事選で誕生した「オール沖縄」はあえなく崩壊した。この間、停滞した県政に明確な民意が突き付けられた。

 翁長雄志氏から玉城デニー氏に引き継がれた「オール沖縄」県政の12年間は、強固な反基地イデオロギーを基盤に政治を動かした点が特徴的だった。だが、沖縄の基地問題を米国はじめ国際社会に周知するために設置した「沖縄県ワシントン事務所」は、正式な手続きを経ず、違法状態を放置していたことが発覚し、昨年6月に閉鎖された。

 辺野古沖で今年3月、平和学習中の船が転覆し高校生が死亡した事故では、船を運航していた市民団体「ヘリ基地反対協議会」と共産党、玉城氏との関係がクローズアップされた。玉城氏は事故後も団体を擁護するような言動を繰り返し、再発防止策を講じなかった。

 石垣市の尖閣諸島周辺で中国海警船が領海侵犯を繰り返す現状について、玉城氏は「中国公船がパトロールしているので、故意に刺激するようなことは控えなければならない」と発言したことがある。さらに、日本漁船が尖閣沖で海警船に追い回された際、操業自粛を促すかのような発言をして批判を集めた。

 国連で中国政府代表が沖縄県民を「先住民族」と呼び、日本政府による差別だと批判している問題では、玉城氏は明確な反論を避け、中国に忖度(そんたく)しているとの臆測が流れた。県民はこうしたイデオロギー重視の県政に明確なノーを突き付けたのだ。

 各種出口調査によると、有権者が投票の際に重視したのは物価高対策や景気など「経済政策」だ。「オール沖縄」県政下では、基地問題を巡り政府との関係が冷え込み、政府の沖縄振興予算も減額傾向が続いていた。地域経済は疲弊し、県政に対する県民の不満がたまっていた。

 1980年代までは沖縄の3Kと呼ばれる「観光・基地・公共事業」が経済を引っ張ってきた。2000年以降は観光が県経済を牽引(けんいん)している。沖縄返還直後は年間観光客数が40万人台だったが、バブル期には200万人、19年には1000万人の大台に達した。

 ただ、観光客が増えても県民は豊かになっていない。23年度の1人当たり県民所得は231万円。前年度の220万円から増えたが、全国最下位の水準だ。古謝氏は経済振興政策の柱として「観光、健康、環境、海洋、起業」から成る「新5K経済」を推進すると訴えた。より生産性が高く、県民に還元できる産業の創出に期待したい。

政府はニーズ吸い上げよ

 沖縄県議会は移設容認派が過半数を占めており、県執行部と議会の歩調が合うことになる。今後は政府との協調路線に切り替わる。政府は地元のニーズを吸い上げて、沖縄振興策を積極的に推進してほしい。

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