空き家が全国で増えており、治安の悪化や環境への悪影響が懸念される。空き家を有効活用し、地域の活性化につなげたい。

全国で約900万戸
全国の空き家数は、総務省が2024年4月に公表した調査結果によると、23年10月時点で約900万戸で、総住宅数に占める割合は13・8%だった。30年前から倍増しており、背景には人口減少や高齢化が進んでいることがある。
増え続ける空き家は治安の悪化も招いている。警察庁が今年2月に公表した25年の犯罪情勢統計では、空き家の窃盗被害件数が1万3971件で、統計を取り始めた20年の4倍超に上った。貴金属や室外機が盗まれるケースが多いという。
また空き家を放置すると、害虫の大量発生やごみの散乱などで周辺の環境にも悪影響を与える恐れがある。国や自治体はこれまでもさまざまな空き家対策を進めてきたが、一層の強化が求められよう。
国が7月に決定した経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」では「防災等に資する空き家対策と所有者不明土地等対策を一体的・総合的に推進する」と明記された。自然災害に備える上で管理の行き届いていない空き家の解消が急がれる。
それとともに、強い地域経済の構築に向けて空き家などを活用した二地域居住の推進を打ち出した。人口減少が進む地方での産業の担い手確保が狙いだ。国や自治体は2地域で居住する人に対し、地域コミュニティーとの関係構築や、交通費など経済的負担への支援を十分に行う必要がある。
国土交通省は、空き家をリフォームし、子育て世帯などに賃貸住宅として提供する事業者に対し、低利で資金を融資する制度を創設するため、27年度予算概算要求に関連費用を盛り込んだ。空き家は資産価値が低く、事業を拡大する資金の調達が難しい。このため、国が住宅金融支援機構に拠出する資金の運用益を活用し、同機構が低利で融資する仕組みを設けるものだ。空き家のほか、老朽化した公営住宅をリフォームし、賃貸住宅とする場合にも、同様の支援を受けられるようにするという。空き家の有効活用促進につなげてほしい。
第2次安倍晋三政権が地方創生を打ち出してから10年以上が経過したが、東京一極集中の是正は進まず、地方の人口減少に歯止めがかからない状況が続いている。空き家を地方創生に生かす流れを確立し、人口や企業の地方分散を実現する必要がある。このためには、地場産業を含む地域経済の活性化が欠かせない。国は7月、地域ごとに成長分野の企業を集積させて活性化を目指す「戦略産業クラスター計画」の第1弾を決定。全国7地域の計13件で、半導体の産業集積や大阪・関西万博で公開された「空飛ぶクルマ」の実用化などを図る方針だ。
相続前に意見一致を
空き家が放置される要因の一つとして、相続人の間で残すか売却するかなどの意見の対立が生じることが挙げられる。相続する前に意見を一致させておきたい。







