トップオピニオン社説上海協力機構 中露の結束に十分な警戒を【社説】

上海協力機構 中露の結束に十分な警戒を【社説】

 中央アジア・キルギスの首都ビシケクで上海協力機構(SCO)首脳会議が開かれた。中国とロシアが主導するSCO加盟国の結束が示されたことは、日本としても軽視できない。

2026年7月24日、キルギスのチョルポン・アタで開催された上海協力機構(SCO)外相理事会第25回会合にて、少人数形式の会合を前に記念撮影を行う各国の外相ら。(EPA・時事
2026年7月24日、キルギスのチョルポン・アタで開催された上海協力機構(SCO)外相理事会第25回会合にて、少人数形式の会合を前に記念撮影を行う各国の外相ら。(EPA・時事)

米欧主導の秩序に対抗

 中露両国は米欧主導の国際秩序に対抗する枠組みとしてSCOを重視している。会議で採択された「ビシケク宣言」では、加盟国イランの主権と領土一体性への支持が確認された。米イスラエルの軍事作戦で殺害されたイラン前最高指導者アリ・ハメネイ師らに心から哀悼の意を表するとも記された。

 ロシアのプーチン大統領はイランのペゼシュキアン大統領との首脳会談で「ロシアはイラン国民と連帯している」と述べるなど、米軍の攻撃で「困難な状況」に直面するイランへの支援を継続する意向を示した。ロシアは侵攻を続けるウクライナでイラン製ドローンなどを使用している。

 SCOは2001年に設立され、加盟国は当初の6カ国から現在は10カ国に拡大。プーチン氏はSCOについて「多極化世界で自立した、影響力ある中心の一つに変貌した」と評価した。しかし権威主義的な中露両国が国際社会での存在感を高めれば、民主主義諸国が重視する「法の支配」や国際情勢が不安定化しかねない。

 宣言には「第2次大戦の結果に関する記憶の保存を断固支持し、歴史の改竄(かいざん)に対抗する」との記述も盛り込まれた。日本を念頭に置いたものとみられる。中露は日本への強硬姿勢でも共同歩調を取っている。

 中国は昨年以降、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言に反発し、日本に対して「新型軍国主義」と非難を続けている。プーチン氏は今年8月、北方領土の択捉(えとろふ)島を初めて訪問。北方四島が第2次大戦の結果、ロシア領になったとする主張を繰り返し、不法占拠の既成事実化を進めている。

 日本周辺では中露の海空軍による共同活動も活発化。中国の習近平国家主席とプーチン氏はSCO首脳会議に合わせて行われた中露首脳会談で結束を誇示した。一方、中露との連携を深める北朝鮮もこのところ「非核三原則」の見直し論議などが浮上する日本の安全保障政策への批判を強めている。中露朝による対日圧力強化への十分な警戒が必要だ。

 日本の平和を守る上で米国との同盟は極めて重要だが、米国からの信頼を一層高めていくための努力も求められよう。年末の安保関連3文書改定は、そのための一歩だと言える。さらにはオーストラリアやフィリピンのような「準同盟国」を増やしていくことも欠かせない。

日本は地域安定に貢献を

 高市政権は今年4月、防衛装備移転三原則の運用指針を改定し、国産装備品の輸出を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定する「5類型」の制約を撤廃するなど、かつて故安倍晋三元首相が唱えた「積極的平和主義」に沿った安保政策を進めている。中露の脅威に対処するとともに地域の平和と安定に貢献するには、核政策などでもタブーなき論議が求められよう。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »