次期学習指導要領の審議まとめ(素案)が、中央教育審議会の特別部会で示された。
情報活用能力の向上や対話と合意による意見形成などを重視している。

思考力の向上に重点
次期指導要領では、基本理念に「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」を掲げ、新教科への移行や内容の精選などで、それぞれの教科固有の学びを深めることを目指す。
児童・生徒が黒板に向かって教員の板書や発言をノートに書き記し、試験で点数を競ってきた明治以降の知識偏重教育から、ICT(情報通信技術)機器、AI(人工知能)を用いた情報活用能力、思考力、判断力、表現力の向上に重きを置いた教育に転換しようとしている。
少子化の時代、教員不足によって教員の負担が増えている。負担増を考慮し、1年間に学ぶ全体のコマ数は増やさず、他教科の授業時間を少しずつ削ることで、情報教育の時間を確保するよう努めている。
本来であれば指導要領が確定した後、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学での教育というように上位の学校へとつなげていくものだ。
だが、日本の教育では上位の学校の入試が変わらなければ学習の体制が変わらない仕組みになっている。
次期指導要領では、情報活用能力をすべての教科等の学びの基盤として位置付け、その基礎を計画的に育成した上で、各教科等の学習で活用する考えを示している。誰一人取り残さず、教育格差を生み出さないためにもICT機器、AIを用いた授業は欠かせない。ただ情報専門の教員は、まだまだ足りないのが実情だ。
小学生の段階ではまず使ってみることが大切だが、知らず知らずのうちに法に違反することもある。総合的な学習の時間には「情報の領域」「AIの仕組み」「メディアリテラシー」について学ぶことが不可欠だ。
中学校には「情報・技術科」を新設し、情報活用能力を育成するための学習を充実させる。高校では「情報」という科目がある。この中では、探究学習を通じて自分を知り、将来の展望や大学で何を学びたいかなどを自身に問い掛ける学習が行われている。
生徒たちはすでに英作文などでAIを活用している。高校生は探究学習の中で「自分のできること」「大学や社会に出てやりたいこと」などを言語化したり、リポートにまとめたりする時に相談相手としてAIを使うこともある。
だが何でもAIに頼るようになれば、思考力や判断力、表現力などを伸ばすことは難しい。学校では、AIの情報をうのみにせず、自分の思考を深めることが大切だということを教えなければならない。
改定へ丁寧な作業を
今後は国民から広く意見を募集し、次期指導要領に反映させていく。
関係団体などからの意見も踏まえ、審議まとめ案の趣旨を教育現場で実現できるよう、改定に向けた丁寧な作業を進めてほしい。







