トップオピニオン社説同志社理事長辞任へ 事故解明の幕引きさせるな【社説】

同志社理事長辞任へ 事故解明の幕引きさせるな【社説】

 沖縄県辺野古沖で起きた抗議船転覆で、同志社国際高校(京都府京田辺市)の女子生徒らが亡くなった事故を巡り、同校を運営する学校法人同志社(京都市)は、八田英二理事長が辞任する意向であることを明らかにした。同高校の西田喜久夫校長は31日付で解任される。

インタビューに答える学校法人同志社第18代総長・理事長の八田英二氏(時事)
インタビューに答える学校法人同志社第18代総長・理事長の八田英二氏(時事)

総長と理事は退かず

 八田氏は事故の再発防止策の在り方、教育の中立性・適切性を検証し改善策を進め、説明責任を果たした上で辞任するとしている。時期は遅くとも今年度中とみられる。しかし、兼務する総長と理事は退かないという。これでは責任を痛感した出処進退とは言えず、理事長辞任は実質的な権限を保持するための形式的なものに見えてしまう。

事故で亡くなった女子生徒の遺族は、今月半ばに提出した同志社の「教育活動の適切性に関する検証」に対する要望書で「内容不十分なまま、早期の幕引きありきで不十分な報告書が発表されるのではないか」との懸念を示している。同志社はこの遺族の思いに応える義務があることを忘れるべきでない。

 新基地建設阻止活動のための抗議船が転覆して2人が亡くなった事故は3月に起きた。この事故で、同志社は二つの点で責任が問われている。一つは安全管理体制のずさんさだ。これについては、同志社が設置した特別調査委員会の調査報告書で、教員らの安全配慮意識の欠如が明らかになった。生徒の命を守ることを最優先すべき教員が、生徒を乗せる船の安全性に不安を持たず、下見しようとさえしなかったことに言葉を失う。西田校長の解任は当然だ。

 だが、西田校長に具体的にどのような落ち度があったのかは説明されていない。事故後の対応も含め不可解な点が多い。

 もう一つは、危険な政治活動を行っている抗議船に生徒を乗せるという偏向した「平和学習」の問題だ。これについては、文部科学省が教育の中立性を定めた教育基本法に違反すると認定した。同志社は近く、教育内容の中立性などを調査する新たな第三者委員会を設置する方針だ。

同志社は大学、小中高、幼稚園など14校園を運営する。八田氏が兼務する総長は教学の責任者だ。事故の責任を取って理事長を辞めるのに、総長に留(とど)まるのは筋が通らない。第三者委の調査結果と再発防止策を公表した段階で総長も退くべきである。

 転覆事故は、同志社の構造的な欠陥と偏った教育内容が重なって起きたと考えられる。これらがどこまで解明されるか、注視する必要がある。

 説明責任が果たされていない問題はまだある。同志社大学学長の小原克博氏が学長に就任する前の沖縄ゼミ旅行で、ゼミ生が転覆事故で船長が死亡した抗議船「不屈」に乗っていたことだ。ゼミ生が自主的に決めたことだったとしても、同氏はその経緯を明らかにすべきだ。

説明責任果たし再出発を

 小原氏は同志社の常務理事でもある。中立性を逸脱した平和学習は、同志社全体の教育方針と関連性があるのではないか。同志社はしっかりと検証、説明責任を果たし新体制で再出発すべきである。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »