最大震度7を観測した熊本地震から1カ月が経過した。ライフラインの要である水道はほぼ復旧したが、記録的な猛暑が続いている。猛暑対策に万全を期しながら復旧・復興の歩みを進めていきたい。

断水と猛暑に見舞われる
熊本県の災害対策本部によると、地震による死者は38人で、直接死36人、関連死の可能性2人となっている。当初9000人以上いた避難生活者も2800人近くに減っているが、現地で救護活動に当たった日本赤十字社の職員は、避難生活の長期化に伴う健康悪化や車中泊を続ける避難者への支援などが今後の課題としている。
避難生活の長期化はストレスや寝不足で健康を害し災害関連死につながる恐れがある。また猛暑の中での家の中の片付けや屋外での復旧作業は、熱中症のリスクを高める。十分な注意喚起が必要だ。とりわけ高齢者の世帯にはきめ細かい支援が求められる。
日赤救護班の報告によると、被災地からの要請を待たずに物資を送る国の「プッシュ型支援」によって水や食料が届けられ、道路の損壊などで輸送が難航した2024年の能登半島地震の際と比べ、かなり早く届いた。
今回の地震では最大約10万戸が断水し、しかも35度以上の猛暑が続いた。震度6強を記録した八代市では一時2万5000戸が断水していたが、26日には全面解消された。この日同市は観測史上最高となる39・2度を観測。政府は8月中にも完全復旧を目指すが、宇城市、氷川町では約2000戸が断水している。一日も早い復旧を望みたい。
住家被害も甚大だ。県によると全壊1730棟、大規模半壊237棟、半壊2902棟、一部破損2万6921棟、未分類1万149棟で合計4万1939棟に上った。仮設住宅は、氷川町では来月5日から入居が始まる予定で、10年前の熊本地震の時より2週間近く早い。過去の被災経験がここでも生かされている。今後被災した住宅の公費解体なども進められると考えられるが、事務手続きや業者の確保などスピーディーな対応が求められる。住環境の確保は、再起、復興の基礎になる。
産業面でも10年前の地震の教訓を踏まえた備えが生きた。自動車や半導体などの基幹産業は早期の復旧にこぎ着けた。ただ農林水産関係の被害は約1102億円となり、県内の過去の大規模災害では16年熊本地震の約1826億円に次ぎ2番目に多い額となった。農業分野での地震対策は今後の検討課題だ。
地震直後に起きた「イオンモール熊本」(嘉島町)の爆発事故では7人が死亡するという大惨事となった。経済産業省は原因究明と再発防止策を検討する事故調査委員会を立ち上げる。LPガスが原因の可能性が高いが、再発防止の指針が示されることを期待したい。
避難マニュアルを厳密に
この事故では、いったん避難した職員を再入館させたテナント企業「ハビタ」とそれを許可したイオン側の責任が大きい。災害時の避難マニュアルをより厳密なものとし、標準的なルールを作ることも必要だ。







