トップオピニオン社説露軍侵攻4年半 独立国家ウクライナを守れ【社説】

露軍侵攻4年半 独立国家ウクライナを守れ【社説】

 ウクライナ独立35年の記念日である24日、同国を支援する欧州主体の「有志連合」の首脳会合がキーウで開かれた。ロシアによる軍事侵攻開始から4年半となる日でもある。欧州最前線で戦うウクライナを独立国家として維持・存続させることは、欧州の安全保障だけでなく、極東ロシアと向き合う日本にとっても極めて重要な課題である。

ウクライナの首都キーウで、ロシア軍のミサイル攻撃を受けた現場=ウクライナ非常事態庁提供
ウクライナの首都キーウで、ロシア軍のミサイル攻撃を受けた現場=ウクライナ非常事態庁提供

英がミサイル機密提供へ

 英国のバーナム首相は、「有志連合」の首脳会合を初の外遊先とし、フランスと共同開発している長距離巡航ミサイルのウクライナ生産を可能にするため、関連技術の機密情報を提供すると発表した。

 またバーナム首相は、「有志連合」が停戦実現後のウクライナ駐留を想定した多国籍部隊の計画を策定したことも明らかにした。停戦交渉において、ウクライナが強く求めている「安全の保証」が具体的な形を取りつつある意義は大きい。

 ウクライナの危機は欧州全体の危機であるとの認識が共有され、双方は事実上の同盟関係に近い状態となっている。

 これはロシアにとって、戦略目標の達成が困難になっていることを意味する。戦場では支配地域を拡大したものの、ウクライナ国家そのものは存続し、欧米をはじめとする国際社会との結び付きはむしろ強まった。支援を背景にドローン兵器の開発・増産も進み、一部戦線ではロシア軍を後退させるなど戦況にも変化をもたらしている。

 ロシアがウクライナへの軍事侵攻に踏み切った背景には、ウクライナが欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟を求め、NATOがロシア国境へと拡大していくことへの警戒感があった。

 かつてのソ連を中心とした軍事同盟であるワルシャワ条約機構(WPO)は解散した。一方でポーランドなど旧WPO加盟国だけでなく旧ソ連のバルト3国もNATOに加盟した。ロシアがこうしたNATOの東方拡大に強い被害者意識を抱いたことは事実である。しかし、それを理由に軍事侵攻が正当化されることはない。明白な主権侵害であり、国際法違反である。

 欧米諸国はかつて、ソ連崩壊後のロシアが普通選挙や市場経済を採り入れ、民主主義国家として発展していくことを期待していた。しかしプーチン大統領はその道を選ばず、権威主義を強めながら独裁色の濃い体制を築いた。そしてウクライナをEUやNATOから引き離すため軍事侵攻に踏み切った。

 侵攻当初、米国をはじめNATO加盟国は、ウクライナと同盟関係にないことから慎重姿勢を崩さず、直接介入は避けた。一方でロシアに対する大規模な経済制裁を実施し、武器供与も段階的に拡大していった。

米大統領は和平に尽力を

 残念なのは、和平交渉の仲介に積極的だったトランプ米大統領が、今年に入りイラン情勢への対応に追われていることだ。ロシア、ウクライナ両国にとって米国の影響力は依然として大きい。2期目就任当初に示した意欲を失うことなく、和平案の取りまとめと停戦への働き掛けに力を尽くしてもらいたい。

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