栃木県鹿沼市の東武日光線・新鹿沼駅の構内で、東武日光発浅草行きの特急列車スペーシアX2号(6両編成)と、線路付近で除草作業をしていた50~60代の男性作業員4人が接触し、全員が死亡した。警察や運輸安全委員会は安全対策に不備がなかったか捜査を徹底し、再発防止につなげるべきだ。

過去にも多くの事故
スペーシアXは東京・浅草と栃木の日光・鬼怒川エリアを結ぶ観光特急列車だ。豪華な内装や多彩な座席などが人気を呼んでいる。その線路上で悲惨な事故が発生した。
死亡した4人は除草剤散布のためにホーム下の線路付近にいた。待避できずに列車にひかれたことは実に痛ましい。
東武鉄道によると、作業員の待避の手順は、①列車が接近すると、見張り員が作業員に笛などで合図②作業員は作業を中断し、見張り員と声を掛け合いながら待避③見張り員は全員の待避完了を確認後、運転士に対して黄色の旗を水平にする合図を送り、運転士は旗を確認したら警笛を鳴らす――などの社内規定があった。
事故当時は見張り員が3人配置されており、約80㍍離れた位置に「列車見張り員」がいた。特急の運転士は「列車見張り員の合図を見て警笛を鳴らした」と述べている。このほか、列車が約500㍍地点まで接近した際に合図をする「中継見張り員」は、列車見張り員と意思疎通できない状況だったことが明らかになっている。
一方、事故直前には死亡した4人を含め計6人が除草作業をしており、このうち2人は待避していたとの報道もある。また作業開始から事故までの間に上下線3本が現場を通過していたが、特に問題はなかった。
栃木県警は業務上過失致死容疑で、東武鉄道のグループ会社で除草作業を請け負っていた「東武建設」の家宅捜索を行った。死亡した4人のうち1人は東武建設の作業員だった。現時点では不明点が多く、事実の解明が急がれる。
線路上で作業中に起きた事故は過去にもある。1999年2月には、東京都品川区のJR山手貨物線で、信号ケーブル取り換え工事のため、線路内に入っていた作業員5人が回送列車にはねられ死亡。2006年1月には、鳥取県江府町のJR伯備線で、保線作業中のJR西日本社員3人が列車にひかれて死亡した。
今年3月にも、香川県坂出市のJR予讃線の線路で工事をしていた作業員が列車にはねられ死亡している。過去の教訓を生かせず、再び重大事故が発生したのであれば、深刻な事態だと言わなければならない。
ドローンなどの活用を
ただ、安全管理におけるヒューマンエラーはどうしても避けられない。今回のケースでも、たとえ見張り員がミスをしたとしても、安全を守ることのできるシステムを構築しておくべきではなかったか。
線路付近の除草は危険だが、列車の安全運行には不可欠だ。事故を防ぐには、除草剤散布でのドローン活用なども急ぐ必要がある。







