夏の全国高校野球が閉幕した。長年、春のセンバツと共に高校球児の夢の一つとなり、母校や地域の応援、観客やファンの盛り上がりを生んできた。しかし近年、夏の暑さが過去とは比べ物にならない水準となっている。今年から気象庁が最高気温40度以上の日を「酷暑日」と定めた。炎天下での競技をこれまで通り続けて良いのか。さらなる対策が求められている。

現状の対策は十分か
これまで日本高校野球連盟(高野連)はさまざまな対策を講じてきた。熱中症リスクの高い正午前後を避けて試合を実施する「2部制」や、5回終了後に身体冷却や休憩をするための8分間の「クーリングタイム」、理学療法士12人前後が連日、甲子園球場で選手の体調管理に当たるなどの取り組みである。
実際、今大会では第10日までの期間、選手の熱中症疑いが前年同期間と比べて10件減の9件だったという。ルールや大会運営の制約の中、高野連が工夫して暑熱対策を導入していることは評価できる。
しかし、どれだけ対策を行っても、真夏の太陽の下で高校生たちがプレーすることには変わりない。現状は、野球というスポーツや甲子園球場の特性の中で、できることをやっている段階だ。
どうしても熱中症リスクは残る。これだけ対策すれば十分、ということはない。厳しい暑さの中で競技を実施するために必要なのは、精神論や現場の感覚といったものではなく、客観的な数値・基準である。
現在、高野連はWBGT(暑さ指数)を球場で測定し、必要に応じて審判やチームに注意喚起している。WBGTとは、気温、湿度などを基に算出される熱中症危険度の指数である。このWBGTをもっと活用すべきではないか。
例えば、WBGTが一定値を超えた場合に、試合開始時間の変更や、試合中断を判断する基準の一つとして位置付けることが考えられる。年々暑さが増す中、大会運営のルールとして、数値的な指標が必要な時期に来ている。
ただ、気温上昇が今後、さらに進行する可能性もある。そうした場合、現状の対策やWBGT活用だけでは太刀打ちできない。さらなる対応として、一日に行う試合数を減らし、その分大会日程を増やすことや、開催時期・会場の変更なども検討が必要になるかもしれない。
一方で、高校野球には長い歴史があり、甲子園は聖地として球児たちの憧れとなっている。暑さを理由に、安易に魅力を削ってしまわないようにしたい。
柔軟な発想と覚悟を
大会運営に当たって、最優先すべきは「高校生の健康と命を守ること」であるはずだ。高野連には現在の対策を続けつつ、その効果を検証し、WBGT活用も進めてほしい。そして、必要なら大会の形そのものを見直すことも躊躇(ちゅうちょ)すべきでない。
「高校野球の伝統や魅力」を次世代につなぐために「高校生の健康と命」をいかに守っていくか。固定観念にとらわれない柔軟な発想と覚悟が問われている。







