小泉進次郎防衛相は、インドの首都ニューデリーでシン国防相と会談し、防衛装備品を巡る協力や海洋安全保障分野の連携を強化することで一致した。

海洋安保協力の覚書署名
防衛装備品の協力については、7月に訪印した高市早苗首相とモディ首相との首脳会談の共同声明に盛り込まれた、海上自衛隊の最新鋭の護衛艦に使用されている通信アンテナ「ユニコーン」のインドへの早期輸出に向けて調整を進めることで合意した。
海洋安全保障分野の協力で、両防衛相は「海洋安全保障協力に関する覚書」に署名した。防衛省が外国との間で海洋安全保障協力に特化した文書に署名するのは初めてである。
覚書は今後の海自とインド海軍との具体的連携の指針となるものだ。具体的には海洋状況把握分野における海自とインド海軍の情報共有をはじめ、捜索救難(SAR)、人道支援・災害救援(HADR)といった分野での協力の強化が含まれる。
また覚書を具体化する政策として、会談後に発表された共同文書では、インド海軍の機雷対処能力強化に資する装備品の移転や造船・設計分野の共同開発の可能性を追求し、日印の造船所を修理やメンテナンスで相互活用する方針などが示された。
このほか両氏は、艦艇の相互訪問、共同訓練、人的交流および専門家交流(SME)などを通して連携を強化していくことを確認。さらに局長級のワーキンググループ設置や、年内の東京での外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)開催実現に向け準備を加速していくことでも一致した。
近年、中国は西太平洋や南シナ海、インド洋などで海洋進出を強めており、その脅威が高まっている。またイラン戦争が長期化し、石油の安定供給に重大な支障が生じている。さらに、中東への兵力展開によって太平洋地域における米軍のプレゼンスが低下している。
かようにホルムズ海峡情勢を含め、インド太平洋地域の安全保障環境は急速に不安定化しつつある。こうした状況で、シーレーン(海上交通路)の安全確保や国際秩序の維持など「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」実現のため、共にクアッド(日米豪印戦略対話)のメンバーである日本とインドが果たすべき役割はますます大きくなっている。
このような中、今回の防衛相会談で両国の防衛協力、特に海洋安全保障の分野で幅広い協力関係の推進を打ち出すことができた意義は大きいと言える。
日本は強い働き掛けを
ただインドは全方位外交を国策としており、対中包囲網強化には慎重な姿勢も見せている。一方でトランプ米政権がクアッドへの関心を弱めていることも懸念材料だ。
日本としては、引き続き経済・安全保障の両面で日印関係を強化し、インドが自由陣営から離れぬよう強く働き掛け、また日豪印の枠組みを生かしてFOIPの空洞化を防ぐとともに、中国に対する抑止体制に穴が開くことがないよう努める必要がある。







