北朝鮮からの弾道ミサイルなどを念頭に、東京都はJR東京駅東側地下の都八重洲駐車場を「シェルター」として強化するための整備・調査を行うと発表した。都独自のモデル事業だが、これを機に全国でも人々の命と財産を守るシェルターの確保や整備の検討を進めるべきだ。

長い滞在想定し強化へ
1960年に開設された八重洲駐車場は、地下2~11㍍の深さで、駐車台数は265台。地下1階と地下2階の二層構造となっており、延べ床面積は1万3000平方㍍になるという。駐車場内には複数の公衆トイレが併設され、休憩所には公衆Wi―Fi(ワイファイ)や自動販売機なども設置されている。
八重洲駐車場が整備対象に選ばれた理由としては、小池百合子都知事によると、首都東京の玄関口である東京駅に近く、屋外に多くの滞在者がいる地域であることが挙げられている。
モデル事業としては、都営地下鉄大江戸線・麻布十番駅(港区)に併設する防災備蓄倉庫(1400平方㍍)に続く2例目だが、比べると床面積は圧倒的に広いエリアとなっている。
八重洲駐車場は既に、爆風などからの被害軽減のため、一時的な避難先となる「緊急一時避難施設」にも指定されている。
国民保護法に基づく「緊急一時避難施設」は現在、都内に4684カ所あるが、そのうち地下施設があるのは2割にも満たない861カ所だ。また、当該施設の管理者の同意を得て、避難施設としてあらかじめ指定するものの、短時間の一時避難を想定しているため備蓄などはなく、特に補強や改修などが行われるということもない。
都の進めるモデル事業「より安全に避難できる施設」では、より長く滞在することを想定。都の担当者は「長く滞在する場合、それだけハードもソフトも加えなければならず、トレードオフ(何かを実現するために別の何かを犠牲にすること)になる」と指摘。収容できる避難者数や滞在可能期間などの具体的な数字は、整備や調査の結果から検討するとしつつ「緊急一時避難施設は1~2時間の避難を想定しているため、それより長い時間の滞在が可能になるよう強化していく」と説明している。
自動車の出入り口は2カ所だが、シャッター扉などはなく、爆風や飛び散る破片からの防護方法も改修を通じて検討していく。一からシェルターを造り上げるより、既存の施設を整備する方が費用や工事期間などの面から見ても現実的だ。
空調や排水への対応も
滞在期間を延ばす上で課題となるのは空調だ。換気機能はあるものの、あくまで駐車場であり、大勢の人間が長時間滞在することは想定外だ。有事の際、出入り口を完全に封鎖するとすれば、今の季節だと耐えられない温度になり得る。今回千葉に大きな被害をもたらしたような豪雨に見舞われた際、排水が十分可能かの検討も必要だろう。北朝鮮のほか、核保有国である中国やロシアとの安全保障上の摩擦が激しさを増す中、都はシェルター整備をさまざまな想定で進め、有事の備えにつながるモデルケースを築いてほしい。








